ところで、仮免取得してもらっても？ ページ3
曰く、前世で命をかけて羂索を斃したのはAであり、今世でも羂索に対抗する際には重要な役割を担う存在である。
曰く、羂索を上手いこと始末すれば、呪われた因果が消え、この世界から一切の“呪霊”が消える。
要するに。この世に安寧を齎すには彼女の献身という名の自己犠牲が必要不可欠なのだ。
この事実を知った公安の面々は頭を抱えた。
まさか、まだ高校生になったばかりの少女がそんな重荷を抱えているなんぞ夢にも思うまい。
自分達だってホークスなどの将来有望な子供達を、公安ヒーローとして育てあげるために色々としてきた。汚い仕事もさせてきた。
だが、それとこれとは話のスケールがそもそも違う。その証拠に、自身が公安のそれをこれでもかという程体験してきたホークスですら、Aを見て引き攣った表情をしている。
(どうしてあの子はこんな状況でもそんなに淡々としていられるのだろうか？あの子はこのイカれた状況が普通だと思っているのか？)
ホークスは目の前の少女の異様さが恐ろしくてたまらない。そして彼女にある程度の心配はしている様だが、この状況で着々と話を進めている五条にも同様の感情を抱く。
頭に心が置いついていない公安の面々。だがそんなの知ったことか、と言った具合に容赦なく五条は畳み掛ける。
「さて、色々と話した訳だけど。どう？僕たちと協力する気になった？」
五条は付けていた真っ黒のサングラスをずらし、顕になった両眼で彼らをじっとりと見渡す。
公安の面々はその蒼穹の美しさに一瞬飲み込まれそうになる。が、ハッとする。それもそのはず。ゾッとするくらい美しいそれが「まさか、ここまで話させておいて協力しない、なーんてことはないよね？」と言外に脅してくるのだ。
彼らとて、ここまで来て断るつもりなんぞ一切なかったが、自ずと脅しに屈した心地になり、頷く。
「是非、宜しく頼みます」
五条はサングラスをかけ直し、公安の返答に満足気に笑う。が、その会長はそこへすぐに「ただし」と待ったをかける。
「一つ問題が。他の呪術師の方々はまだしも、Aさんは歴としたヒーロー科の生徒。しかも先日の雄英体育祭で世間に顔が知られている。そんな中、我々と活動するのは沢山問題が出てくる」
「…じゃあ、どうしろって？」
「此方でも色々と策は練るし、根回しもする。だけど、まずはAさんにプロヒーロー仮免許を取ってもらいます」
「えぇ…？」
Aは己が過労でやられる未来を確信した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1420人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハノン(プロフ) - 八百万さんの優しさがしみました、、、😭更新ありがとうございます。 (4月6日 15時) (
レス) @page15 id: b1aa25fb33 (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！前編から読ませていただいておりました！これからも楽しく読ませていただきます！ (7月12日 20時) (レス) @page6 id: f500b808b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おかかのおにぎり
| 作成日時：2023年7月12日 20時
