仲間って、思ってしまったら。 ページ17
2日目夜。
昼間のキツい訓練もなんとか終わり、今は皆で自分たちの夕食を作っているところだ。
A組は全員がAの置かれてきた特殊な環境とそれに伴う潔癖症のようなものへの理解があった。だからAのことを気遣ってあれこれ工夫しようとしていたのだが。
「あの、別に…あんた達なら大丈夫だから」
「「！！」」
当の本人であるAの口から出たのはそんな言葉で。それはA組にとった「お前…熱でもあんのか？」と天然失恋こと轟が言うくらいの衝撃だった。
今のAにとって、A組のメンツはそんな配慮などいらないくらいには気の許せる存在になっていたのだ。
きっと、これを皆は急な変化だと思うだろう。けどれど、実のところAの態度がこの短期間で急激に丸くなったのはまぁ無理もない話なのだ。
前までのAはずっとずっとひとりだったから。ある日肉親は殺されて、それからは自分だけが呪いの世界で生きた記憶を持ち、誰にも理解されない個性やヒーロー社会への嫌悪を抱き、ポツンと浮いて、ただ存在するかどうかも分からない夏油傑だけを追い求めて生きてきた。自分だけしか信じられる人がいない、そんなひとりぼっちの世界でAは死んだように生きた。
けれどココ最近、前世の仲間──虎杖や伏黒、釘崎、五条などに再会したことで、Aはようやっと「自分はひとりではなかったのだ」「もうひとりで頑張らなくていいのだ」と思うことが出来たのだ。
彼らに時に優しく時に厳しく諭される中で、誰にも傷つけられないように身につけていた虚勢でガチガチに固めた鎧も、偏見で歪んだレンズが何重にもはめられていた眼鏡も、Aの傍からは全部気づけば消えていた。
そうしてすっかり身も心も軽くなったAは、こんな自分にもいつだって全力でぶつかってきて理解しようとする、そんなA組の存在を受け入れるようになっていったのだ。
日に日に、自分の大切なものの中にA組が少しづつ入り込んでくるような感覚があった。
これはまずいな、とAは思った。
Aは一度でも自分にとっての“仲間”だと認識した存在にはとことん甘くなる。それがいかに危ういことか、Aは前世の自分の死をもって嫌という程に学んでいる。
そして合宿3日目の夜。
「海南…！！っ、血が…！！」
「大丈夫、こんくらい。それより下がってて、あんた達を死なせたくない…！あんた達は私が守る…！！」
そんなAの不吉な予感は的中した。
続く
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ハノン(プロフ) - 八百万さんの優しさがしみました、、、😭更新ありがとうございます。 (4月6日 15時) (
レス) @page15 id: b1aa25fb33 (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！前編から読ませていただいておりました！これからも楽しく読ませていただきます！ (7月12日 20時) (レス) @page6 id: f500b808b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかかのおにぎり
| 作成日時：2023年7月12日 20時
