貴方の心の憂いを拭うのは私でありたい。 ページ15
その後A組はAや爆豪などが先陣をきり、全員で力を合わせて何とか施設まで辿り着くことに成功した。しかし辿り着いた頃にはもう夕暮れ。昼ご飯…ではなく夜ご飯がしっかりと準備されていたのだ。
「…食べるか」
普通に考えて毒なんか入ってるわけないし。それに最悪は反転術式を使えばいい。Aはきっと食べようと思えば食べられる。それでも過去に植え付けられた恐怖はそう簡単に拭えるものじゃない。ただ信用出来ない人の料理が食べるのが“怖い”のだ。
そこで明らかに Aの顔が曇ったのを見逃さなかったのは八百万だ。
「Aさん、ここは私にお任せを！」
「え？」
「毒の検出キットです」
「マジか」
八百万曰く、こういうこともあろうかと予め毒の検出キットを作れるようにその素材や構造を学習しておいたのだと。
八百万は林間学校を前にしたとき、かつて昼食の時間に「他人の作ったものを食べるのが怖い」「毒入りの飯はもう食べたくない」と吐露した友人の身をひたすらに案じていたのだ。
自分の自慢の友人は確かにとても強いけれど、その心に弱さを抱えている人だから。きっと自分は戦闘面においてはまだまだ彼女に支えられる側だ。ならばせめて友として少しでも不器用で優しい友人の心の憂いを拭ってあげたい、支えてあげたい。八百万はそう、強く思った。
だから今日のためにきちんと学習と練習を重ねてきた。八百万は完璧に作れた毒の検出キットを手に取り、Aに誇らしげに見せる。
Aはというと、「このキットはあらゆる毒を検出するかなりハイテクなものでして…」と懸命に語る八百万を見て、胸が擽ったく温かくなっていた。
ああ、この子は本当に私のことを想ってくれているんだな。
Aは自分の顔が自然と綻ぶのが分かった。そして、徐に八百万の頭に手を伸ばしてぽんぽんと1回、2回優しく触れた。
「百は本当にすごいね。私のためにありがと」
それは嘘偽りない、心からの言葉だった。
「…！！喜んでくださったようでとても嬉しいです！それにこれくらい友人として当然ですわ！また何かあったらいつでも頼って下さいね」
八百万は頬をうっすら桃色に染めて興奮気味に返事をする。
そんな2人の親しげな様子を見て、A組の面々は「なんかズルい！！」「てかヤオモモすげぇな！？」と騒ぎ出すのだった。
そうして合宿一日目の夜は更けていった。
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ハノン(プロフ) - 八百万さんの優しさがしみました、、、😭更新ありがとうございます。 (4月6日 15時) (
レス) @page15 id: b1aa25fb33 (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！前編から読ませていただいておりました！これからも楽しく読ませていただきます！ (7月12日 20時) (レス) @page6 id: f500b808b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかかのおにぎり
| 作成日時：2023年7月12日 20時
