揺らぐ地面と仲間の基準。 ページ14
私は気づけば知らない場所にいた。
目の前を見れば、私がずっと追い求めていた後ろ姿がそこにあった───夏油様だ！！
「夏油様！！」
愛おしい名前を呼ぶ。すると彼は振り返る。
「やあ、殺される覚悟は出来たかい？」
明らかになったその額には、あの憎たらしい縫い目があって。
ああ、そうだ───夏油様はこの世界に居ないんだった。
──
「…い、おい、とっとと起きろ」
そんな相澤の声がどんどん近づいてくる。体が無遠慮に揺らされる。その揺さぶりが激しくなるにつれ、上から舌打ちのような音も響き出す。
と、そこでようやくAは夢から覚めた。
「げっ」
開かれた視界の中にまず1番にAの寝汚さにブチギレている相澤が映り込んでくる。ああ、ホントに最悪の夢と目覚めだ。
「あと1分お前が起きるのが遅ければ、除籍にしていたところだ。とにかく早くバスから降りろ」
「ハイ…」
結構本気でキレてる、怖…。まぁ七海さん怒らした時よりはマシかな───なんて呑気に考える。
Aがようやくバスから降りたと思えば、今度は逆になぜかA組のメンツがバスに乗り込もうとこちらへ向かってくるではないか。
その次の瞬間。Aたちは土砂に巻き込まれて遥か下の方へと押し流されていた。
どうやらこれも林間学校のカリキュラムの一つらしい。
12時までに施設につかないと昼ごはん抜き。つまり食事は向こうで勝手に作られているということだ。
…それは困る。食事は自分で作るか、せめて自分が見ている前で作って欲しい。そうでなきゃ安心できない。よし、こうなれば自分で作れるように向こうの想定よりも早く施設についてやろう。
そう思っていたのに。
気づけばすっかりA組全体で協力する流れになっているではないか。
分かってる。流れなんて無視して周りを置いていけばそれで済む話だと。なのにA組のヤツらが自分を信頼してくるから。何でかそれに応えないと行けないような気がしてしまうのだ。
「…ちゃんと着いてきなよ。あんまりダラダラしてるようなら置いて行くから」
「ツンデレか！」
「は？」
「イエ、ナニモ」
まったく、本当に面倒だ。
虎杖たちが変に自分の交友関係を心配してくるせいだ。A組のやつらが執拗く粘り強く構ってくるせいだ。
自分の中の“仲間”の基準が揺らぐ。
Aは彼らを自分と対等な存在だなんて微塵も思わない。それでもAは徐々に彼らを仲間だと認識し始めていた。
貴方の心の憂いを拭うのは私でありたい。→←いざ、林間合宿へ！
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ハノン(プロフ) - 八百万さんの優しさがしみました、、、😭更新ありがとうございます。 (4月6日 15時) (
レス) @page15 id: b1aa25fb33 (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！前編から読ませていただいておりました！これからも楽しく読ませていただきます！ (7月12日 20時) (レス) @page6 id: f500b808b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかかのおにぎり
| 作成日時：2023年7月12日 20時
