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そして私と甚爾さんは今、埼玉の少しボロい住宅街に来ている。
あの後、
甚爾さんは私の提案に少し顔を歪めたものの、背に腹はかえられぬ(死にたくねぇ)と渋々頷いた。そして私は五条くん達に滅殺計画の中止を連絡し、今に至る。
「…ここだ。でも今更ガキ共の元に戻ったって意味あんのかよ。……それにガキ共だって俺みたいなやつの事なんかとっくの昔に忘れてるに違いねぇよ。」
『急に女々しくならないでください気味が悪い。……それに意味?あるに決まってるでしょう?甚爾さんみたいなクソ親であろうと、結局のところ親の存在そのものが子供にとって大きなものなのですよ。』
「…いやお前さっきから辛辣すぎねぇか?」
『クソ野郎…いえ、甚爾さん相手に相応しい対応をしているまでですが?』
「それ言い直した意味ねぇからなお前。」
こうやって出会って1週間ほどで軽口を叩ける甚爾さんとの関係は結構楽しくて気に入ってたりする。……まぁクズでクソですけどね。
そうやって私たちがアパートの前で軽く言い合いをしていると後ろからトタトタと小さな足音が2つ。
「…おとう、さん?」
と、その足音の正体と思われる女の子の声がしたので私と甚爾さんは振り返る。
…って、今この子……お父さんって言った?じゃあこの子が…
「……おう。」
いや、“……おう。”じゃないんですよ。わかりやすく誰だっけこいつみたいな顔でこっち見ないでください。甚爾さんが分からなくて私が分かるとでも?馬鹿なんですかね。
てか、育児放棄した挙句、子供の顔や名前すら忘れてるとか…うん、やっぱり死んだ方がいいですね。
「あーーーーーーー!!思い出した思い出した!!!!だから
…本当に五条くんたちのこと嫌なんですね。
ふふっ、しばらくはこの作戦使えますね(悪魔の笑み)。
『それで?あの女の子の名前はなんて言うんです?』
「…ツ、」
『つ?』
「!…ツキミ!そうだそいつの名前はツキミだ。」
いかにもスッキリしたー!という表情の甚爾さんに対して、ツキミちゃん(仮)の方を見ると心底微妙そうな顔をしていた。
『…お嬢さん、名前は?』
「…え、あの。ツミキ、です。」
……黙って逃走しようとするのやめましょうか甚爾さん。
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やんこち - ぐぁぁぁ…気になりすぎる!!とても素敵な作品をありがとうございます✨続き待ってますっ!! (10月21日 2時) (レス) @page19 id: 53e7ed5961 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - えっとですね!直哉くんなにかに目覚めたらしいのパスワードを教えてください! (2023年3月18日 21時) (レス) @page3 id: aff6f0444c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - もっと皆の絡みが見たいです(甚爾が呪詛師から東京校の術師側に転職するのもアリかもです) 更新頑張って下さい (2022年1月22日 0時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 案外甚爾がこっそり払っていたんですね私も夢主が払うのだとばかり思ってました 甚爾ごめん 何げに仕事ではちょくちょく高専側から何故か甚爾が駆り出されみたいななんだかんだの関係や絡みがあったら面白いと思うのですがどうでしょうか? (2022年1月22日 0時) (レス) @page19 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - もっとこの家族達の事や難しくても高専や「さ.し.す」組と色々な絡みが見てみたいです 続編楽しみに待ってます (2021年7月29日 19時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかかのおにぎり | 作成日時:2021年4月18日 6時