カントクの妹は青学の高嶺の花でした【2】 (ページ6)

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花、22本ページ6

【土曜日】

夕方、キッチンに立っていると、

『……くっしゅ…………風邪？』

4月に入ってからわりと暖かかったんだけどなあ、そんな冷え込んでたっけ？

明日あるという誠凛の練習試合に臨時マネージャーとして参加する私は、水戸部さんに約束した通りレモンの蜂蜜漬けを作っていた

言うまでもないが、姉さんはここにいない……というか、いさせる訳にはいかない絶対に

あんなダークマター製造機、食材が無駄になるだけだ…(遠い目)

容器を冷蔵庫に入れながら思わず吐き出しかけた溜め息を飲み込んだ、よし考えるのはよそう、自分の身の為にも

『これでよしっと……ついでに朝食用のスムージーとお弁当用のおかずも作っとかなきゃ』

朝が弱いというか、低血圧なのでいつも寝起きはふらふらだ……もっと言えば目を覚ましてから二時間くらいは胃に何もいれたくない状態である

正直朝食を抜いたところでどうってことないのだが、姉さんがそれを許してくれない

食事を蔑ろにすると翌日から矯正メニュー(別名・死のメニュー)に切り替わるとなれば、食べざるをえないのだ

どっちに転んでも私にとっては苦行であるので、せめて自分で用意したものを食べたいということでなんとか決着がつき、毎朝スムージーだけを飲んでいる……これも結構お腹に溜まるのでそこまでの量はいらない

お弁当に関してはお母さんの負担を少しでも減らそうという私の気遣い……ではなく、単に食事量の問題だ

お母さんに頼むと今の倍近い大きさのお弁当箱になってしまう、そんなに食べられるわけがない、苦行だ悪夢だ

しかも姉さん程ではないが、お母さんもそんなに料理が上手とは言えない……いや、食べれるけどね？ちょっと焦げてたり、味付けが濃かったり薄かったりというのがしょっちゅうだから…どうせなら美味しいものの方がいい

口には出したら間違いなく泣かれそうな(お母さんは決して怒ったりしない、事実だし我が家で一番料理が上手いのは私だから文句が言えない)ことを考えながら、フライパンにトマト缶をぶっ込んだ

我が家では定番の万能ミートソース…常備菜にぴったりでパスタやトースト、ドリアなどにアレンジできるし、フライパンひとつあれば簡単にできるのだが、作れるのは何故か私だけ……はぁ←

憮然とした思考を振り払い黙々と夕飯の準備まで終えて、緑のアイコンをタップすると一番上に可愛い後輩の名前が表示された

　