カントクの妹は青学の高嶺の花でした【2】 (ページ1)

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王の花、1本ページ1

【跡部Side】

土曜日の練習終わり、“正”レギュラー専用の部室で

宍戸「日吉、最近どうしたんだろうな？」

と、普段自分から声を発さない宍戸が、そんな話題を出した

忍足「なんや宍戸、珍しない？」

鳳「日吉がどうかしましたか？」

宍戸「や……なんかあいつ、ここんとこ妙に浮かねー顔してるから、気になってさ」

向日「そーかぁ？」

へぇ、宍戸も案外良く見てるじゃねーの

まだ準レギュラーではあるが、古武術を応用した独特のプレイスタイルで虎視眈々と正レギュラーを狙っている2年生【日吉若】

1年時の新人戦では立海の【切原赤也】とよい試合をし、シングルスでは同じ2年で正レギュラーである鳳長太郎を破った、氷帝の次期部長候補(にしようと思ってる奴)だ

だが……4月に入ってからというもの、どこか集中できていない

実力重視であるこの氷帝テニス部、もし榊監督の目に入ればすぐにレギュラー落ちもあり得る

跡部「俺もその意見に賛成だな、宍戸」

宍戸「跡部もそう思うか？」

跡部「まぁな。但し、どちらかと言えばイライラしてるように見えたぜ。そーだろ、樺地」

樺地「ウス」

滝「本人に直接聞いたらいいんじゃない？」

滝がそう言ったその時、戸をノックする音がした

日吉「日吉ですが、跡部部長に今日の報告をしに来ました」

跡部「おっ、ちょうどいいじゃねえの。入れ」

日吉「……失礼します」

中に入ってきた日吉が準レギュラーの練習内容報告をしている間、その顔は前よりも疲れているような気がした

日吉「……以上です。何かありますか」

跡部「そうか。引き続き頼む……ああ、それから」

滝「ねえ日吉、何か悩み事とかない？」

日吉「は？」

ちっ、俺様が聞いてやろうとしてたのに…

小さく舌打ちをして、質問を重ねる

跡部「最近のお前、練習に集中できてねーだろ。単刀直入に言う…

何があった」

驚いたように目を見開き、はあっと溜め息をつく

日吉「……そんなに分かりやすかったですか」

跡部「そんなことはどーでもいい。早く言え」

日吉「……俺の家、古武術の道場なんですよ」

向日「それがどうしたんだよ」

忍足「がっくん、落ち着きぃ」

途中で口を挟んだ向日を、忍足が宥める

しかし日吉は、気にすることもなくスルーして続けた

日吉「うちの道場には、大人から子供まで習いに来てるんですが……今月から参加している高校生がとにかくうざいんです！」