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『初産だから、まだ産まれないし大丈夫。
入院の準備をして、ゆっくりこちらへ向かえますか？旦那さんは？』
｢それが繋がらなくて…あの、｣
『タクシーでも、頼めるお知り合いでもいいから。焦らないで、ね？
もしかしたら陣痛が遠のくかもしれないしまだわからないレベルよ。とりあえずうちに来て、診てみましょう』
返事をして電話を切るけど、大ちゃん…既読もついてない。
｢あ、そだ｣
.
『もしもしー？いのちゃん？』
｢あ、うん俺、侑李くん今だいじょ…いってぇ｣
『えっ？…いのちゃん、もしかして』
｢んぅ…きたかも…おしるし出たし…はぁ、あ…大丈夫、去ったわ波｣
『大ちゃんは？』
｢それが連絡つかなくて｣
『任せて。
───宏太！今すぐいのちゃんち。
は？そんなのいいから。はい出動！
いのちゃん、今から宏太行かせるからね。
まだまだ産まれないから大丈夫だよ、落ち着いて』
｢ありがと…あの、電話、｣
『心細いでしょ、今朱李寝てるからいいよ。繋いどく。僕とお話してようか？』
経産婦からの"まだ産まれないから大丈夫"ほど心強いものはない。
侑李くんが薮と出会った時の話、俺の仕事の話、大ちゃんとの思い出。
関係ない話をして気を紛らわせているうちに、けたたましくなるチャイムの音。
『うるさっ…宏太着いたね。
うちは大丈夫だからさ、いいように使ってやって』
｢ごめんね侑李くん、ほんと助かった｣
『いいのいいのっ！また落ち着いたら連絡してね？』
ロックを解除して待ってると、
｢伊野尾っ！大丈夫か！｣
｢声でけぇ…大丈夫だよ｣
俺より焦ってる薮を見ると不思議なもんで逆に落ち着く。
｢用意出来てる？雪、酷くなってきてるから早めに出た方がいいぞ｣
｢出来てる。ごめんね、連れてってくれる？｣
｢俺はいいから。ほら、行くぞ｣
荷物を抱えて、俺の手を引く俺より背が高くてひょろひょろの背中を頼もしいな、なんて見つめるけど。
俺より背が低くて、広くて、あったかい見慣れた背中が恋しい。
大ちゃん、早く来て。
隣で手を握って、頑張れって言ってよ。
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Shee.(プロフ) - とまとさん» ありがとう！上手いこと行けばあります！← (2018年11月1日 17時) (
レス) id: 8e67ef454c (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - 完結おめでとー☆彡スピンオフあるの？！って喜んでます！☆連打できないのが悲しい(´；ω；`)楽しみにしてます♪ (2018年11月1日 16時) (レス) id: 561587332a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shee.
| 作成日時：2018年10月24日 23時
