それぞれのカタチ

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ar視点


山田とひかが付き合ってからというもの、必然的に俺といのちゃんとの接点も増えて。

二人はすぐ仲のいい友達みたいになってたけれど、恋とかそこまでのものではなかったように思う。


なんせ俺もいのちゃんも、自分で言うのも馬鹿みたいだけど…男女問わずよくモテてたし。


いのちゃんが大学へ進学してから、会う機会はなくなったけど時々するメールのやり取りだけはなんとなく続いてて。


山田とひかが結婚する、ってなった時にどちらからともなく"お祝いのプレゼント、一緒にする？"って話になって会ったのがもう何年ぶりって感じだった。


｢やほぉ、大ちゃん久しぶり｣

｢…え、いのちゃん？｣


ひらひらと手を振るいのちゃんを待ち合わせ場所で見た時に、一瞬女の子かと思った。


それくらい美人で、華やかで、色気を纏ってて。ネイビーと白を貴重にしたシンプルなコーディネートは昔のいのちゃんを感じさせたけど、


｢…なんか別人みたい｣

｢ふは、なんだよそれ！どういうこと？｣

｢なんつーか、綺麗になった｣

｢…大ちゃんはかっこよくなったね。
昔は弟みたいで可愛かったのに｣


ほんのり頬を染めて、綺麗に笑ういのちゃんに一瞬にして恋に落ちたんだ。



───それから、二人へのお祝いが終わっても何かと理由をつけて食事へ誘ったりする日々が続いて。

俺もいのちゃんも仕事が軌道に乗ってて忙しい。
それを理由に、夕食を食べて、タクシーでいのちゃんを送ってさようなら。


男同士の結婚が認められてるとはいえ、同性で愛し合える人間ってのは少数派で。
実際俺もいのちゃん以外の男性を好きになったことはなかったし、
…いのちゃんがどう思ってるかなんてわからない。


そんなある日、いつものように店を出てタクシーを捕まえようとした時。

｢大ちゃん、俺イルミネーションが見たい｣

｢イルミネーション？今から？｣

｢ん、今から。ダメ？｣

｢いや別にいいけど…｣

｢決まり。いこ！｣

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