甘いやきもち ページ38
hk視点
残暑が残る9月の頭、俺は変わらず厨房に立っていた。
心配していたつわりも俺はどうやらめちゃくちゃ軽い方らしく、たまーに少しムカムカする程度。
食べすぎた時の胸焼けに近いような、そんなレベル。
いのちゃんは珈琲をドリップする香りや炊きたてのご飯の匂いがダメだった、って教えくれたけど、拍子抜けするくらいなんともなくて。
俺はむしろ何か口に入れてないと気持ち悪くて…ほんとは飴玉とかずっと舐めてたいけど、味見出来なくなるし。
かなりこまめに水を飲んで誤魔化していた。
｢光さんの旦那さん、すごいイケメンなんですってね｣
｢何それ、どこ情報？｣
｢おばさん…奥さんが｣
俺の妊娠が発覚した次の日から、ほんとにバイトに来た裕翔はオーナーの甥っ子さんだ。
真面目で、爽やかな好青年。
マシンガンのように話すのがうるさいけど、弟みたいで憎めないやつだ。
調理の専門に通ってて来年の春には卒業らしい。
｢何それ、奥さんそんなこと言ってたの｣
｢はい、お人形さんみたいだったって珍しくはしゃいでましたよ｣
｢へー…そう｣
あのいつも穏やかでぽんわりした奥さんが…
想像つかないけど、山田のこと褒められて嫌な気はしない。
｢あとなんか光さんのお友達夫婦？も超イケメンだとかで、4人揃うとアイドルみたいだって｣
｢よっく言うよ。裕翔だって相当モテるだろ｣
｢それなりにモテますけど、相当ではないです｣
｢出たよマジレス｣
俺が店に立てなくなった時、裕翔には頑張ってもらわなきゃいけないから
時には厳しく指導するんだけど、それでも食らいついてくるハングリー精神は見あげたもんだ。
｢ねえねえ、今度旦那さん会わせて下さいよ！｣
｢え、別にいいけど…つか今日迎えくるよ。
裕翔ラストまでいんだろ？｣
｢うわラッキー！紹介して下さいね！｣
.
ディナーのお客が帰って、一息ついて窓の外を見ると少し離れたところにハザードランプが点滅しているのが見えた。
｢あれ、山田もう来てる｣
｢お？旦那さんか？今日はもう上がっていいぞ、疲れたろ｣
｢いや片付けと仕込み…｣
｢片付けは裕翔がするから。明日も仕事なんだから無理すんな。
ほらほら、着替えてこい｣
ペットボトルの水をぽいと渡されて、お言葉に甘えてバックヤードに向かう途中で山田に
"お前に会いたいって人いるから、来て"
ってメッセージを入れた。
さっさと着替えて店内に戻ると、店の前で佇む山田を見つけて呼び入れた。
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Shee.(プロフ) - たべっこさん» はじめまして。コメント励みになります、ありがとうございます！ (2018年10月17日 6時) (
レス) id: 8e67ef454c (このIDを非表示/違反報告)
たべっこ(プロフ) - ありいののやりとり可愛くてにやけながら読んでます！続き楽しみにしてます！ (2018年10月16日 23時) (レス) id: 330ed6c9f4 (このIDを非表示/違反報告)
Shee.(プロフ) - ちかちゃんさん» ありがとうございます。まだまだ続きそうですのでよかったらお付き合い下さいね！ (2018年10月13日 2時) (レス) id: 8e67ef454c (このIDを非表示/違反報告)
ちかちゃん - やまひか大好きなので、結婚してるとか夢のようです。ありがとうございます。 (2018年10月13日 0時) (レス) id: be1cc30b1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shee.
| 作成日時：2018年10月4日 20時
