手に入れたい＿【おそ松さん】 (ページ14)

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１４話ページ14

「さようならー」

「ばいばーい」

私以外の生徒全員が教室から出ていった。

やっとのことで学校の一日が終わったのだ。

さっそく帰ろう。そう思い、鞄をしょって教室をでる。

いつもなら「一緒に帰ろうぜー」とかいうバカが一人くっついているのだが、
今日は部活があるらしく、私は一人。

ひんやりとした廊下を、スタスタと歩く。

窓から校庭を見れば、野球部が練習をしている光景が見える。

男子の一人が何かをかぶって「野球マーン！！」と叫んでいる者。

それを止める男子たち。

その光景一つで、自然と微笑みが浮かぶ。

みんながみんな、それぞれの得意分野を生かし、生き生きと活動を行っている。

私は部活に入っていない。

理由は…、どれも選べなかった。ただそれだけ。

絵は好きじゃないし、運動も好きじゃない。

どれもしっくりこなかったのだ。

『…楽しそうだな』

私のつぶやきは、さっきの野球マンでかき消された。

と思っていたのに。

「＿ならば、演劇部に入ってみないか？」

後ろから、低音の声。

『…そんなに、演劇部を推したいの？

カラ松』

「あぁ。演劇部は部員は少ないからな。

人とコミュニケーションをとるのが苦手なAでも馴染めると思うが？」

＿松野カラ松。

六つ子の次男。

演劇部所属のイタイ奴。

一か月前から私をどうしても演劇部に入れたいらしい。

『それ、前にも聞いたし。私をバカにしてるようにしか聞こえない』

「そっ、そんなことはないぞ！？

俺は…、ただAに入ってほしくて…」

俯いて声を震えさせる。

なんて外道なんだ、今まではこんな技使ってこなかったのに。

『わ、わかったから！泣きそうな声出さないでよ…！』

＿＿＿カラ松の泣き顔攻撃に負け、
　私は仮入部することになりました。