64話 気になること 豪炎寺side ページ21
豪炎寺side
なぜかものすごく胸騒ぎがした。
心配することなんてなにもないはずなのに。
あの日もこんな天気だったな。
目の前で愛しい人が倒れている姿がフラッシュバックした。
あれ以来の胸騒ぎ。何かが起ころうとしている。
そう俺は感じた。
まさかその予感が数分後に起きるなんて誰も思っていなかった。
見たくないものを目撃してしまった。
それは保健室のカーテンの開いているほんの隙間から見えたものだった。
風丸とAがキスをしていた。
信じたくなかった。何かの見間違いであってほしかった。
しかし、たしかに俺は見てしまった。
愛しい人が他の男に奪われる瞬間を。
水道で頭を冷やす。
俺は一体どうしたらいい。風丸に問い詰めるべきなのか、それともAに問うべきか。
なぜ、キスをしていたのか。俺の思考回路はショート寸前だった。
何かを手に入れれば、何かを失う。
どうしたらいいのか全く分からなかった。
だから、俺は見なかったことにした。
普段の俺ならそんなので収まりがつくわけない。
しかし、今回ばかりは信じたくなかった。どうしても事実を受け入れたくなかった。
俺の足は勝手に保健室の前で止まっていた。
中に入ったがそこにはもう風丸の姿はなかった。
ベットには愛しい人が眠っていた。
風丸に奪われた柔らかそうなAの唇をそっと触る。
悔しかった。それと同時に大粒の涙がこぼれた。
俺はベットの前の椅子に腰掛けAの手をにぎる。
豪炎寺：「なぜだ...」
小さくそうつぶやいて、Aの唇に上書きをするようにそっと唇をあてた。
しばらくするとAの目が覚めた。
豪炎寺:｢気がついたか、。｣
俺は読んでいた本を閉じる。
豪炎寺:｢大丈夫か…？｣
A:｢大丈夫。心配かけてごめんね。｣
Aは何もなかったかのように答える。
なんだか複雑な気持ちだった。
豪炎寺:｢帰れるか？｣
A:｢うん。帰ろっか。｣
そう言ってAは立ち上がるがふらついていた。
豪炎寺:｢危ない！｣
咄嗟に俺はAを受け止めた。
Aの目からは涙が溢れてた。
豪炎寺:｢どうした…？｣
A:｢なんでもないの。ただ修也だなって思ったら安心しちゃって。｣
豪炎寺:｢そうか。それならいいんだが、何かあったならちゃんと言えよな。｣
そう言うと俺はAを撫でた。
さっきの涙はきっとAなりに感じている罪悪感からだ。
なんとなくそんな気がした。
そして俺たちは保健室を出て玄関の方へと向かう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みなみ(プロフ) - みほさん» きまぐれ更新でだいぶ待たせてしまいました…🥺たまたま占いツクールからメール来てたのが目に止まって存在を思い出しました🥲自分が何書こうとしてたか覚えてないんですけど、頑張って書き続けてみます✏️ (12月7日 1時) (
レス) id: 71282e02b1 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 更新ありがとうございます！！！！！ずっと待ってました！！！嬉しすぎて泣きますᴛ.ᴛこれからも楽しみにしています！どうか続けてください😢🙏応援しています🥰🔥⚽ (12月7日 1時) (レス) id: 7870bc3a58 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - みほさん» コメントありがとうございます(*≧ｖ≦) お褒めいただきありがとうございます！もう更新したくてうずうずしてます( ´^` )お互い頑張りましょうね！ (2021年2月3日 23時) (レス) id: 42c5293b3b (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - Emiriさん» ありがとうございます！亀さん更新なんですけど少しずつ書いていくので楽しみにしててください！ (2020年10月6日 18時) (レス) id: 3499dce2fb (このIDを非表示/違反報告)
Emiri(プロフ) - このお話大好きです！続き楽しみにしてます！！！ (2020年10月1日 23時) (レス) id: 0edbd1dfc5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みなみ | 作成日時：2020年3月11日 0時
