ＮＩＮＲＡＮ－４－ (ページ17)

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04-47・“彼女” ページ17

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腕を組み、厳しい表情の二宮を
見た松本はたじろいだ。
あんな表情をするとは思わず、
この依頼を受けたのだ。

二宮が大きく一つため息を吐く。

「まぁ、受けてしまったものは
　しょうがないですけど……。」

そういうと、忍び装束を手に取る。

「アンパン2個、買ってきて。」

「お、OK！」

松本は直ぐ、財布片手に楽屋を
後にする。

二宮は1人、忍び装束に着替え
ながら、記憶の中で蘇った面影を
必死で心の中から追い出していた。

彼女の妹が“今”ここにいるなら
彼女は……？

もし、今生でもう一度会う事に
なったなら……。

“今”いる恋人の存在が頭を過る。

別れるか？
あぁきっと……。

手に持っていたズボンを乱暴に
投げつけた。
そのすぐ後、アンパンを手に松本が
戻って来た。
彼からそれを受け取ると
おもむろに胸元に突っ込む。

「は？」

その行動に松本は呆気にとられた。

「え？もしかして“ソレ”で
　すんの？」

「万が一でもバレないように
　念のためです。
　嵐ファンなんでね。」

「え？そうなの？」

それにも初耳だった松本は
窓から外の暗闇に飛び出した
二宮を見送った。

嵐ファンだからばれないように……
というのは建前。
本当は“彼女”がもし、いた場合を
想定し、あの前世をなぞる行為であ
り、“今”を守る為の“盾”でもあった。

“女同士”であれば、自分に自制も
できる。

そんな風に考え、二宮はその姿を
選んだ。

誰にも見られないようにそっと
地上に降り立ち、装束を着替える。

“彼女”は人込みに紛れ、依頼主との
合流場所へと向かった。

一方の松本は1人楽屋で後悔していた。

今回、気を利かせて依頼を受けたのは
失敗だったみたい

あの二宮の反応に松本の中の何かが
反応した。

あの二宮にどこか覚えがある……。

あれは“いつ”だっただろうか？