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04-26・家族 ページ26





一枚の写真を見てAの家族は
絶句した。
遠目で写したものは、ある程度、
モザイク処理されているが、明らかに
服を着ていないとわかる。


アップの写真も提出され、顔に残る
痣に、どういう扱いをされているか
見て取れた。



母親が泣き崩れる。父親が難しい
顔のまま視線を正面の怪しい忍者
装束の男に向けた。



夫婦は半ば捜索を断念しかけていた。
娘の夫が主導で探偵を雇い、行方を
探したが、見つからず、警察の方も
言わずもがなだ。
自分達でも捜索したが、資金が底を
尽きかけ、これ以上はもう……と
諦めかけていた所だったのだ。
下の娘が諦めきれず、別の探偵を
雇いたいと聞いたが、背中を押す事も、
止める事も出来ずにいた。




『友達の生田さんのお兄さんが
 頼んだ所が、姉さんの居場所を
 見つけたって!』




少し、弾んだ声が電話口で聞こえ、
その内容に電話を受けた母はその場で
泣き崩れた。
それ以上、話せなくなった妻に代わり、
父親が電話に出て、捜査結果の報告が
したいと聞き、本日、全員が揃う日に
こうしてやって来たのだ。

扉を開け、出迎えた人物が芸能人の
生田斗真であった事にも驚いたが、
この会社が忍者の事務所である事を、
対応に現れた忍装束を着た男を見た
瞬間知り、驚きと共に不信感を抱いた。


目の前の忍者は自分を風魔小太郎と
名乗った。
聞き覚えのある名前である。
もう一人、お茶を運んで来た忍者は
言葉を発する事はなく、装束の合間、
目だけが見え、黒目がちな目で優し
げにこちらを見つめていた。

風魔小太郎と名乗る忍者の目も、
まっすぐ視線を合わせ、誠実そうに
見える。




『娘さんを見つけました。
 ご確認下さい。』




そう言って取り出された写真の
衝撃。
加工されているが、これは初め
からなのか?それとも……。




震える手で写真を握りしめ、
父親は風魔小太郎を見た。




「娘は、どこに?」




その言葉に、忍者の目に力が入り、
その手がぐっと握られた。




「ご自宅です。」




「じ、自宅?」




言葉が脳内に入ってこない。
この男は何を言っているのだろう?




「す、すみません……自宅とは?」




困惑を浮かべた父親と、次女。
直ぐに忍者の言葉を理解したのは
意外にも泣き崩れていた母親だった。

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作者名:sayanちゃん | 作成日時:2017年7月21日 15時

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