ＮＩＮＲＡＮ－３－ (ページ23)

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04-23・成功と失敗ページ23

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屋内に入ると、気配を伺いつつ
靴底の汚れを室内に残さないよう、
靴を脱ぐと、地下足袋姿になった。
底はラバー製で汗等を残さないよう
になっている。
もちろんお手製の為、購入先から
足が付く事はない。

室内を見回し、ゆっくりと進むと、
廊下の先に人の気配のする部屋が
あった。

ゆっくりと扉を開け、中を確認すると
家主である男が大きなベットで
眠っている。
室内をざっと見回し、またゆっくりと
扉を閉めると、他の部屋を見て回った。

いねぇな……。

二階にも人の気配はない。

地下室……か？

そう目星を付けた大野は、一階の
何処にも地下への階段などが無かった
事を思い出した。

今日は無理だな。
たぶん、あの寝室が怪しい。

部屋の主の眠っていた部屋だけが
一階で唯一、大野が探索していない
部屋だった。

空が白み始める。

大野は無言のまま、玄関へと向かい、
その家を後にした。

NINRAN事務所。
大野の帰りを待っていたのは櫻井だった。
仮眠室で眠る櫻井を見て大野はふにゃっと
表情を崩すと、その腹にどすんと座る。

「ぐおぉ！！」

不意打ちの衝撃に櫻井が声を上げると、
大野は満足げな表情で

「おはよ。」

と櫻井に声を掛ける。

「ぐっ……ちょ、智くん、のいてっ……」

「んふふふ。ほれ、起きろ。報告する。」

大野の声に苦悶の表情だった櫻井が
真剣な表情を浮かべ、体を起こす。
大野はその動きを読んで立ち上がって
いた。

「どうだった？」

「地下室がある。たぶん。
　場所は一階の主寝室内。詳しくは
　わかんない。」

「そっか……すんなりいかないか。」

「昔とちげぇかんなぁ……。地下室とか
　防犯カメラとか、なかったもん。」

「だね。昼間がいいか……。」

「うん。でも人通りが気になる。
　ニノがいる。」

「はぁ～……だね。」

櫻井は天井を見上げたまま首を
回すと、肩を回した。

「防犯カメラ、どこ？」

「玄関と、ガレージ。」

「俺も行く。
　それと、智くんには見せてなかった
　けど、彼女の写真、まだあんの。
　救出時には智くんだけ、中に入って
　貰った方が良いと思う。」

「俺らで助けるって事？」

「……ああ。
　あの姿は出来るだけ見せたくない
　だろうからね。女性としては。警察
　にも見せたくないだろうし。」

「んなひでぇの？」

大野の言葉に櫻井は厳しい表情で
頷いた。