04-17・本格的な依頼 ページ17
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「ここ?」
生田は手にした名刺を見、視線を目の前の
ビルに向け、呟いた。
確かに手にした名刺に書かれた住所はここで
間違いない。
古ぼけた雑居ビルを見上げ、『腕はいい』と
言う松本の言葉と目の前のビルの印象の違い
に、不安を覚える。それでも、格安で引き受
けてくれる探偵社(名刺には忍者と書いてい
るのだが)というのはこんなものかと、ひとつ
ため息を吐いてビルの中へと入って行った。
エレベーターで5階へと上がり、目の前の
扉をみると、『NINRAN』と黒い字で擦り
硝子の上に書かれてある。
「ほんとにここだった……。」
インターホンを探して押すと、中から聞き
なれた声で「はーい!」という声が聞こ
え、生田は首を傾げる。
「空いてるよ〜。」
続けて聞こえた声に、誰だかピンと
きた生田は、勢いよく扉を開けると、
「大野くん!?」
と、中にいるであろう人物の名前を
呼んだ。
「おう!」
応接スペースにあるソファーに寝転ぶ
その人物が生田に向かって右手を上げる。
「何でいんの!?」
生田が思わず問いかけた。
「何でって、ここ、オイラ達の会社
だもん。」
「は?ウチ、副業禁止だけど!」
「特別許可もらったも〜ん。
子会社扱いにしてるって翔くんが
言ってた。」
「まじで?」
「まじで。で?依頼内容は?」
大野はソファーから体を起こすと、
そう言ってにやっと笑った。
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作者名:sayanちゃん | 作成日時:2017年7月21日 15時