02-10・翔と潤と異能 ページ10
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どっごぉ〜ん！
盛大な音を立てて、１メートルほどの
大きさの岩が割れた。
「は？」
思わず無門が間抜けな声を出す。
それも致し方ない。
翔が異能を初めて無門の前で使ったのは
翔を鍛え始めて８カ月程した頃。
組み手を無門と初めてした時だった。
やぶれかぶれかむちゃくちゃな振りで
無門に向って拳をふるう。
無門が避けると、背後にあった岩が割れた
のだ。
これには割った本人でさえ固まる。
「翔……おめぇ……。」
「な！なにこれ……なんで？」
「翔、その力は忍びにゃ役に立つ。
おめぇが守りたいもんも守れる。
でかした！」
無門がそう言って頭をぐりぐりと
撫でてやると、嬉しそうに目を細めた。
翔は自分の化け物じみた力に唖然とし、
その後、恐れた。
無門に、お国に恐れられ、居場所が
無くなるのではないか？と。
だが、それも、無門の言葉で杞憂に終わる。
逆に翔の自信になった。
潤が異能に目覚めたのはお国と夕餉の
支度をしている時。
火打石が湿気てなかなか火が付かず、お国が
困っている時であった。
「ふぅ〜ってやったらちゅかない？
ふぅ〜。」
薪に向かって息をふきかけると途端に
火がついた。
「潤、そなた……。」
驚いたお国、潤は悪い事をしたと感じ
泣きそうな顔で見上げた。
その顔を見た途端、お国は顔を引き締め、
「よくやりました。」
と潤を褒めた。
その言葉を受けた潤は顔を綻ばすと、
得意げな表情をする。
その顔が何とも可愛らしかった。
夕餉の支度を終え、食事を皆でとると、
その夜、お国が無門を呼んだ。
夜、呼ばれた無門はいそいそと下心
満載でお国の閨に向かう。
所が切り出されたのは潤の異能に
付いてであった。
「なにをがっかりしているのです？」
「いや、だっておめぇ……。」
「忍者にとって潤の異能は喜ばしい事。
それともなんですか？
まさか、いやらしい事でも考えておら
れたとか？」
「だぁってお国が夜、閨に誘うからぁ
おいらもう、もうっ！」
「無門殿？」
冷たい目で見られた無門であったが、
それはそれ、しょせん夫婦である。
相談もそこそこに、久しぶりの逢瀬を
楽しんだのであった。
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作者名：sayanちゃん | 作成日時：2017年7月4日 13時
