ＮＩＮＲＡＮ－２－ (ページ9)

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02-09・お国と翔と潤ページ9

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「か、かぁちゃ～ん、こいつら、怪我
　してんの。開けてぇ～。」

無門が扉に向かい必死に訴えると、すっと
5センチ程、扉が開いた。

「怪我？」

「そ、そう！ほれ、見て！な？」

背中に背負った翔を必死にお国へと見せる。

「す、すみません……。」

か細い声で必死に謝る翔の姿に絆され、
お国は扉を開けて家の中へと4人を
迎え入れた。

「すごい怪我……。
　いったい何があったのです？」

「あ～、う～ん。」

言いよどむ無門にお国は一つ深く息を吐くと、

「致し方ありません。
　子供が増えるたび、稼ぎを増やしていただけ
　ればいいのです。
　そなたも。
　はやく治して、強くなりなさい。そして、
　家にお金を入れなさい。
　ただ飯ぐらいを置く余裕はうちにはありません。」

「は……はいっ……」

一見冷たく聞こえるお国の言葉で
あったが、翔と潤に気兼ねなくこの
家にいる為の“理由”を与える、お国
なりのやさしさが込められていた。
分かりにくくはあるが。

「傷には〇×草、打ち身にはコレ。」

怪我が良くなると、翔は薬草の知識を
惜しみなく“家”の為に披露した。
お国はそんな翔を気にいる。
自分で調合までするようになると、その
薬が売れたのだ。
薬草の知識はすぐ覚えるが、忍術はどうも
覚えるのが遅い翔。

潤もまた、お国のお気に入りになった。

かわいいかんな。甘えん坊だし。

とちょっと無門がいじけたのはご愛嬌だ。
かずは新しく出来た“兄”と“弟”を
すぐに気に入った。
とくに弟である潤にお兄ちゃんぶる姿が
微笑ましく、かずの後をちょこまかと
追いかけるようになった潤の姿もまた、
里で可愛いと評判になった。