ＮＩＮＲＡＮ－２－ (ページ5)

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02-05・修行の日々と異能ページ5

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それから、無門はさとしを連れ、
仕事を求めうろうろしながら修行を
付けていた。
幼い子を連れている事で情報収集は
思ったよりできる。
ただ、何かあれば逃げ足が遅くなる
事が難点といえば難点であった。

「あ～家に帰りてぇ～～～～！！」

事ある毎にそう叫ぶ無門にさとしも
若干呆れながら、走り込みや高跳び
など、修行に励む。
時には川に放り込まれ、泳法を死に掛け
ながら覚えた。

「でぇじょうぶ。腰に縄くくってっから。」

という何とも無慈悲な言葉に、さとしは
泣きそうになった。
山で木の実や獣を狩って食し、町で
親子として情報を収集する。
そして、ひと月に一度、金が手に入ると
それを持って家に帰り、足りない時には
獣を売った金をたし、それでも足りない
時は家に入れてもらえない日々。
自然とさとしはたくましくなった。

智の異能に気付いたのは拾ってから
1年くらいした頃だった。
基礎体力訓練を終え、無門がさとしに
本格的な忍術の訓練をするようになって
半年後の事。

実践訓練中、さとしの武器を無門がはじき
飛ばし、さとしが手を地面についた。

振り落した無門の右手。
勝負がついたかに思えたが、いつの間にか
さとしはクナイを握っていた。
そのクナイでさとしが短剣を受け止めたのだ。

まだ、クナイなんて渡してねぇのに！

無門は驚きで目を丸くした。
一方のさとしも驚いている。

「さとし……。」

「とうちゃん……。」

この１年、親子として過ごした二人。
何時も一緒にいたせいか、仕草や話し方が
だんだんそっくりになっていた。
あの１年前のいいとこのおぼっちゃんと
いった風情は今、さとしにはない。

お互い目を丸くしたまま、

「今日は終わりにすっか。」

と言う無門の言葉に、さとしは無言で
頷いた。

二人考えている事は一緒。

“考えてもしょうがない”だ。
何故できたかなんて、分かる訳がない。
出来るから出来るのだ。

“考えてもしょうがない”

出来るんだから幸運。それで二人は
済ませてしまった。