ＮＩＮＲＡＮ－２－ (ページ28)

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03-12・潤の修行先ページ28

Side/無門

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残った二人、まずは潤の預け先へと向かう。
泣き虫の潤。
兄ちゃん子の潤。
せめて兄を見送るのではなく、兄に見送らせ
てやろうと、順番を決めた。

「お久しゅう。」

「お久しぶりでございます。」

おっとりと笑うこの男が蛇と名高い
「甲賀三郎」だと誰が気づくだろう。
煙術が有名な彼に、潤を預ける事は
最初に決めていた。

「この子が？」

「はい。潤と申します。」

「ふふ。潤……か。火を使うになんと
　みずみずしい名か。
　潤。お前のその力は私と同じ力。
　それゆえ、そなたの力に成れよう。」

「よろしくおねがいします。」

潤がそう言って頭を下げる。
きちんと出来た事にほっとしつつ、
オイラも翔も同じように頭を下げた。

「一人前になった暁には、儂ら夫婦の
　元に帰して頂きたく。」

「わかっています。ご安心を。
　それと、その子を連れ、先に“あの方”の
　元へ参られませ。」

「あの方……ですか？」

「そう、“あの方”です。
　伝言も預かっているのですよ。
　
　翔る鳥を一羽つれ、御出でなさい。
　未来(さき)夢が歌っております。

　だそうです。」

その伝言を聞いてオイラはあの方が
誰なのか見当がついた。

「賜りました。かならず。」

望月出雲守殿の元を出たオイラと翔は
一路、京の都へと旅にでる事にした。
潤んだ目の潤を置いて行くのに胸が
痛くなる。
それは翔も同じようだった。