ＮＩＮＲＡＮ－２－ (ページ21)

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03-05・じゅんページ21

Side/無門
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潤もまた、殿さまの子どもだ。
潤は夏産まれ。
相次いで亡くなる奥方たちに、殿さまは
1人の愛妾を匿うことにし、市井へと
降ろした。
信用できたのはあの翔を見つけた家来と
数人だけだと、元番頭の男が言った。
そのため、あの薬問屋へ預けられたのだ。

愛妾の腹の中には子がいた。
だがすでにその愛妾は毒をもられ、流産の
危険があったらしい。
無事生まれたが、潤はそれがもとで体が
弱かった。
そんな潤の為に、翔は薬の知識を覚え始め
たらしい。
潤が2歳になった頃、元番頭は主に呼ばれ、
詳しいいきさつを聞いたのち、どうやら
居場所がばれる可能性と、その時に子供らを
守れるようにと、店を出されたのだと教えて
くれた。
そして潤が3才になった頃におこったのが
あの火事だ。

夏産まれの潤は“火”。
光り煇く炎が元となっていて、火のような
灼熱の性質を表す。
そう、あの火事が潤の異能を目覚めさせる
出来事だったのだろう。

司る感情は楽。
最初につかった時、潤はかあちゃんの
手伝いをしていた。
楽しげに顔をほころばせ、冗談のつもり
でした行為が実際に火を発生させたのだ。

元番頭は、主に言われた言葉をオイラにも
伝えてくれた。

『もし、坊ちゃんたちが仇を取りたいと
　おっしゃられたら、どうかお伝えください』

告げられた名前に、教えるべきか戸惑う。
子供のアイツらには荷が重いだろう。

だが……、
あの親戚の家をつぶすくらいはできる。

翔と潤をいじめたのはその黒幕の差し金
であり、薬問屋の実権を握りたかった
親戚の奴らは、金と権力に飛びついた。
父母を殺し、見つからない兄弟に家に
火を放った。

いま、彼らはのうのうと薬問屋を継ぎ、
城に出入りし、大金を稼いでいる。