ＮＩＮＲＡＮ－２－ (ページ20)

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03-04・翔の生まれと異能ページ20

Side/無門

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当時の事を知っていたのは、あの薬問屋の
元番頭だった。
彼は、自分たちにもしもの事があった時の
為に、別の店へと移動していた。

翔と潤が生き残った後、探していた男は
親戚の家に引き取られたと聞き、安心して
いたらしい、しかし、会いに行った時、
二人は死んだと言われ、その話が信じられず、
当時の二人の様子を街中できいて回って
いたらしく、そんな男がいたと、町の人が
教えてくれた。

あの薬問屋の親戚の家へと探りに行った
オイラは、その町でその男に接触し、誰にも
見られないように、会う事ができた。

『本当ですか？本当にぼっちゃんたちは
　生きているんですか！？』

会うなりそう言って詰めよって来た男に、
落ち着くよう言って、二人の命が狙われて
いるなら、このまま、死んだものとしてお
きたいと伝えた。
男は涙ながらに了承すると、翔の生まれ
について教えてくれた。

男によると、翔は一月の生まれだという。
城で行方不明になった翔の母親を探す為、
当時沢山のものが探していたが、一向に
足取りはつかめず、どこかの間男と駆け落ち
でもしたのではないかと、口さがない噂が
たっていた。
そんな中探し始めて一昼夜がすぎ、明け方、
雪が降り始め、暴風が噴き、雷が落ちた。

雷が落ちた場所を見に言った役人が翔を
みつけた。
雪のなか、そこだけ春草がしげり、雪ひとつ
なかったという。
役人はその子供を匿った。
匿った先があの、薬問屋だった。

茂った春草に、雷……か。

どうやら、翔は“木”らしい。
木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元と
なっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。
そして、司る感情は喜。
雷と風も翔の五行、その八卦の力。

雷はおそらく、翔のあの突発力を引き出して
いる異能だろう。
そして、春草はそのまま、かずを助けたあの
異能……。

潤と和を助ける為に目覚めたのかと
思っていたが……。
いや、あの火事の日も、しらずしらず
翔は異能を使っていたにちがいない。
自覚してつかえ始めたのはオイラが
引き取ってからだろうが……。

やはり、生きるための力が異能なのか？

いや、もしかしたら、無事生まれてきた
事を喜んだ瞬間、翔の異能が目覚めたの
かもしれない。