ＮＩＮＲＡＮ－２－ (ページ19)

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03-03・しょうページ19

Side/無門

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翔の生まれがまたすごかった。

翔は子供の頃、父親に自分は本当の
父ではなく、さる、高貴な方の息子だと
教えられたという。
所謂御落胤という奴だ。
そして、潤の母親は、翔の父親の後妻で
命を狙われているため、匿っているのだと
説明されたという。

ここまでで、感のいい奴は気づいただろう。
翔、そして、潤、それにさとしとかずは
同じ父親を持つ正真正銘の兄弟だ。

翔もまた、殿さまの子供、という事。
翔はあの火事のあった日まで、何不自由なく、
薬の知識を教わりながら大きくなったという。

だがあの日、突然、誰かが家へと押し入り、
翔は潤と共に長持ちに隠された。

『よいか、絶対出て来るでない。
　よいな？静かにしているんだ。
　声も出すな。わかったな？』

父親にそう言われ、

『この子を……おねがいっ……。』

母親に潤を託された。
外が騒がしくなり、辺りが熱くなり始めると、
翔は耐えきれず外に出た。
そこは、火の海だったという。
それからの事は必死であまり覚えていない
と翔は言った。

炎と翔の異能は関係していない。
では、翔はいったい何が異能と関係する
のだろう？

オイラは翔の生まれを調べる事にした。
知っている人間を探すのに随分苦労した。

首つった母親の足元に産まれ落ちていた
赤ん坊、それが翔だったという。

これを聞いた時には驚いたのなんの。
まさか、かずと同じように、死んだ
人間が産んだ子供だとは……。