ＮＩＮＲＡＮ－２－ (ページ15)

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02-15・かずの異能ページ15

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かずが６才になった頃だ。

翔の異能がもう一つある事に気が付いた。
崖へ登る訓練中、かずが転落したのだ。

翔が手を伸ばすも、間に合うはずはなく、
付けていた命綱でようやくぶら下がっていた。
無門が慌てて命綱を手繰り寄せる。
所が強風が吹き、かずの体は宙に舞った。
このままでは崖に叩きつけられる！

そう思った時、手を伸ばした翔の手から、
沢山の蔓が伸び、かずの体を受け止めた
のだ。
これには無門も驚いた。
だが、驚いたのは本人もである。
驚いた拍子に手を離し、翔は崖下へと転落
していった。
だれもが翔の死を想像した。
だが、翔は生きていた。
体を沢山の蔦や植物が受け止めたのだ。
円状に広がるそれらは美しい花をつけていた
という。

「しょーにぃ～！！」

崖の下にいたまさが駆け寄る。
ぐずぐずなくまさを受け止めた翔は
唖然としつつ、崖の上をみて、改めて
その高さを感じると、ぶるっと体を
震わせた。
それ以来、翔は高い所がダメになって
しまう。忍者としては致命的。
なんとか恐怖を押し殺し、修行は続けた
ものの、何時も高い場所だと自分の実力の
半分もだせなくなってしまった。
それでも、翔はかずより数段強かった。

かずは泣いていた。
夜、１人になると外へふらっと出ては、
人知れず涙を流した。
翔には二つも異能がある。
その一つだけでも自分に欲しかった。
その様子を無門は影から見守った。

木を殴り、蹴り、しまいには両手を地面に
つけ、拳を振り上げた。
何回か、地面を殴っていたかずが、不意に
動きを止めた。
そして、見えるはずがない、気配を消し、
忍びの術で隠れる無門の方を見たのだ。

「とうちゃん……。」

「とうちゃん！！！」

かずは無門の元へ、一直線に走って
来た。無門も隠れ身の術を解いてかずを
受け止める。

「とうちゃん！おれ！おれにもできる！
　できたんだ！
　こうやって、地面に手をつくとわかる！
　誰が、何処にいるかってなんでもぜんぶ！」

その異能は忍者にとって天の恵みと言える
程の異能であった。

だが、手を地面につかなければ分からない
のはいささか勝手が悪い。

無門はかずにその力を立ったまま使える用
訓練させた。

かずの訓練は精神集中が中心になった。

異能が目覚めて２カ月でかずは力を使い
こなせるようになる。これは兄弟最短の
習得期間であった。