波紋 (ページ7)

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07・実際に会うページ7

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相葉が座っている場所からは、Ｂａｒの入り口が
よく見えた。

扉が開閉される度に、相葉の胸がドキッと弾む。

現れた人の姿に目を凝らし、目印になっている
黒ブチ眼鏡と、モスグリーンのストールを探した。

チリン。

というドアベルが鳴って、一人の女性が現れる。

あ。デメテルだ。

相葉は直感でそう思った。
長い髪と、黒ブチ眼鏡、モスグリーンのストール。

きょろきょろと辺りを見回す姿、どれをとっても
彼女がデメテルだという事を示しているようだった。

立ち上がって片手をあげると、それを目にした
彼女がこちらに視線を合わせる。

さっきから、相葉の心臓はばくばくと忙しなく
鼓動を繰り返していた。
絞り出すように声をかけると、電波上よりも
ずっと可愛らしい声が返って来る。

前の席に促すと、おずおずとそこに腰かける彼女。

近くに来て初めて、その髪が不自然だという事に
気が付いた。

お化粧もなんだか彼女にあっていないギャルの
ようなメイクで、明らかに自分を隠している事が
手にとれる。

それでも、相葉は彼女にその事を指摘するつもり
は無かった。

ただ、ほんの少し、彼女の素顔が見てみたい。

そんな風に感じただけ。

だけど、自分も本当の自分を隠している以上、
“本当のデメテル”を知るつもりは無かった。

本当の彼女を知る。

という事は、本当の自分をさらけ出さないと
フェアじゃない。

「何、飲みますか？」

彼女に聞くと、

「こういう場所は初めてなので、どうしたら
　いいか……。」

という戸惑いの言葉が返ってくる。

「お酒は大丈夫？」

彼女の好みを聞いて、店員に告げ、後はお任せで
注文し、初めて会ったデジタルの友人との会話に
花を咲かせた。