ハロウィンの夜に☆３ (ページ8)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:41,093 hit

８ページ8

・
・
・

背中の大野に上着を被せ、顔を隠し、二宮を装って
松本が入り口に横付けした車に乗り込んだ。

すぐに車は発車する。

向かった先は竜神の祠。
車は海のすぐ近く、岸壁にあいた洞窟がある場所へ。
地元の人が竜神をまつる聖域だった。

草が覆う入り口。
櫻井が綱を持ち上げ、大野を背負った相葉を通した。

「松本、お前は留守番。人間のお前は入ると体調
　崩すから。」

櫻井にそう言われ、松本は仕方なく、車に残った。

「ニノとの連絡係、よろしくな！」

櫻井の言葉に、自分にもできる事を指示して
くれたのだと、松本は嬉しかった。
何もせずに待つというのはイライラする。

洞窟の中。
なるだけ自然のままにと保たれたそこは、
非常に歩きにくく、暗かった。

少ない明かりでもそこそこ見えるようになって
いた相葉は狼男でよかったと、このとき初めて
感じた。

きっと、ここで大野を運べるのは相葉だけ。

先を行く櫻井の背中。
その背中が頼もしく見えた。

やがて広がった空間に相葉は口をあんぐりと
開けた。

空に抜けるそこは、上からの月光が降り注ぎ、
いくつも光の線をつくって、その下の水面を
神秘的に輝かせている。

洞窟の中の湖。

岸辺に作られた祠。
確かに、ここは神様を信じたくなるような場所。

「雅紀、智くん、この中へ。」

「え！？」

「いいから、この中に沈めて。」

櫻井の言葉に相葉は戸惑った。
湖に大野を沈めろだなんて……。
それでも、櫻井の言う通りに大野を背中から
下ろすと、ゆっくりその体を湖に浸けた。
顔までは抵抗があり、ちょっと出るようにすると、

「ちゃんと顔までしっかり入れて。」

と櫻井に言われてしまう。
渋々、顔までしっかり水に浸かるように体を入れた。