ハロウィンの夜に☆３ (ページ18)

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船は右に左に揺れ、大野は立っていられなくなった。

「ありゃ、なんだ。」

船長が指差した波間に、人の影が見え二人はぎょっとした。

まさか、近くに別の船でもいたのか？

揺れる船の上を船長が慎重に歩き、波間を見た瞬間、
船長の体が引っ張られるように波にのまれた。

驚いた大野も外へ出る。

波間を見た大野は驚いた。
そこには女性の姿。

慌てて手を伸ばし、彼女の伸ばした手をつかんだその時、
大野の体は外へと躍り出た。

反転する視界、沢山の泡と、水の感触……。

そして見えた女性の悲しそうな声と顔。

彼女が自分の唇にキスしたところで意識が
途絶えた。

思い出した記憶にぶるっと体が震える。

嵐の中、海に落ちたのだ。

『俺、死んだの？』

『人としての生は終わった。』

『じゃ、も、みんなに会えないの？』

大野の脳裏を４人の顔がよぎった。

『案ずるな。また会える。』

『それって来世でって事？』

『ちがう。人としての生を終え、翔や雅紀と
　同じように、別の種族になるのだ。』

『え？そうなの？またみんなに会えんの？』

『あぁ。会える。』

『オイラ何の種族になんの？』

『そなたは竜神になるのだ』

『まぁじか？かっけぇ～』

呑気な大野の言葉に声が笑った。