ハロウィンの夜に☆３ (ページ13)

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「そ、そのセイレーン。」

櫻井の言葉に二宮、松本は眉をしかめる。

「彼女達は気に入った男がいると歌声で惑わし、
　海に引きずり込む。そして男の気を吸い取り、
　子供を生むんだ。」

松本、二宮が頷く。

「智くんも気を吸い取られてた。
　そうなると、生きるための力が足りず、大抵死ぬ。
　智くんもそう。
　あのまま一晩、あそこにいたら死んでた。」

「だからってなんで竜神？」

「助けるには気を補う必要がある。
　だけど、それができるのは竜神だけ。
　海の怪物が奪ったものは海の竜神だけが補える。
　ただし、それには犠牲が伴う。」

「犠牲？」

「人としての生を手放すこと。」

「そんな……だったら大野さんは……。」

櫻井は静かに頷いた。

「生まれなおすんだ。竜神の子として。」

「それって、どうなるんですか？
　竜神の子って？」

「見た目はなんにも変わらない。
　ただ、俺みたいに不老になる。寿命は永い。
　殺されない限りは死なない。
　俺たちは刃物や毒で死ぬ訳じゃない。殺そうと
　する人間の心に殺されるんだ。」

「じゃぁ、ほとんど翔さんと変わらないって事？」

「いや、違う。定期的に水に浸かりたくなる。
　竜神だからね。」

「どのくらいで？」

「それは俺にも解らない。ただ、気をつけないと
　いけないのは、水の中では死なないって事。」

「それがどうして気をつける事？」

「普通、人は水の中に長時間はいられないだろ？」

「あ、そっか。」

松本の天然すぎる問いに二宮は思わず微笑んだ。