ハロウィンの夜に☆３ (ページ2)

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夕方近くになり、やっと海が凪いで、捜索隊が
救助に向かった。

『船が見つかりました。……ただ、船員の姿が
　ありません。』

一瞬の喜びの後、訪れた悲しみ。
中村は震えが止まらない。大野の母は失神して
しまった。

「『５人じゃなけりゃ、嵐じゃない。』
　そう言ったのは大野さんじゃないですか！」

中村は携帯を握りしめ、大野へ叫んだ。
その言葉が届きますようにと願いながら……。

捜索から５時間。

漁港には斎藤マネージャーも到着し、大野の
発見を待っていた。
どこから聞き付けたのか野次馬と共に、報道陣が。

警察官がその人たちを一定の距離から中へ入れない
ようにと、尽力してくれた。

暗い海に浮かぶ、沢山のライトをつけた船。

[見つかった]

そう無線が入った時はほっとして中村と、
大野の父は膝から崩れ落ちた。

漁港に大野を乗せた船が到着し、その体が
岸へ運ばれた。
待機していた救急車にすぐさま乗せられる。
ぐったりとした右手は担架から落ち、揺れていた。

救急車には大野の父が乗り込み、母が運ばれた
病院へと向かった。
その後をマネージャー陣が車で追いかける。

夜間の救急病院。

運ばれる大野。
光るフラッシュ。

斎藤は記者たちにげんなりしつつ、今後の対応に
ついて頭を巡らせた。
ため息をひとつつく。

病院名を知らせる通知を嵐のメンバーへ送り、
院内へ進んだ。

救急のICUで処置している大野を見守る。

[心肺停止]

その言葉に拳を握った。

救急の医師が大野に馬乗りになり、心臓マッサージを
つづけている。

『頼む、大野。生きてくれ……。』

斎藤も中村も同じ気持ちだった。