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特に何も異常が見られなかった俺は、
直ぐに退院が許可された。
但し、体温はずっと37度台とやはり
高く、耳も鋭いままだ。
狂犬病という稀な感染症での入院、
しかも、奇跡の生還という記事が雑誌を
にぎわせ、ワイドショーなどで何度も
取り上げられた。
翔ちゃんは自分の出演するZEROで、
きちんと状況説明を俺の代わりに
してくれた。
もちろん、俺が無事、生還した事も
最初に報道したのはZEROでだった。
俺を救ったAちゃんは、
“嵐、相葉雅紀を救ったオオカミ”と
ファンや世間に持ち上げられ、彼女の
いる動物園は連日長蛇の列を作っている
らしい。
俺はというと、そんな報道を病院や
自宅で他人事のように見ていた。
志村どうぶつ園の出演は、事務所から
降板をすすめられたが、大好きな番組、
これからも続けさせて欲しいと、退院
したその日に、事務所へよってお願いし、
安全管理の徹底を番組へ要請し、ロケは
国内の動物園に限定されたものの、なん
とか許可がおりた。
退院して3日。
やっと保健所の許可がおり、仕事に
復帰する運びになった。
最初の番組は“嵐にしやがれ”から。
これから先、ロケの場合は保健所への
報告が義務づけられる事になった。
検診は3カ月間は週に1度、後の半年は
一カ月に一度、それ以降は半年に一度、
それから年に一回総合的な運動機能を見る
検査が義務となった。
海外へ出かける場合はもちろん、県外へ
行く場合も保健所へ連絡がいるようになり
流石に不便さを感じる。
俺のスケジュールは病院の検診を軸に
一から組みなおされる事になった。
TV局へ着くと、顔なじみのスタッフが
「お帰り」や「おめでとう」など、声を
かけてくれる、だけど……、気づいて
しまった。
わざと俺を避ける人もちらほら……。
確かに俺は感染症に感染していた人間だけど、
もう治ってるし、ウイルスもいないから、あんな
ふうに避けられると、やっぱり傷つく。
それと同時に不安になってしまった。
同じように、俺を見て不安に感じる人がいるの
ではないだろうか？
俺がTVに出る事で不快に感じる人がいるんじゃ
ないだろうか？
俺はTVに出ていいんだろうか？
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作者名：sayanちゃん | 作成日時：2015年10月16日 15時
