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近くに来た彼女が飼育員さんにすり寄る。
「いいなぁ……。」
思わず呟いていた。
白いその毛並は艶やかで、水色の瞳は何とも
言えないくらいきれいだ。
しゃがんだ飼育員さんに頭を撫でられ、嬉しそうに
尻尾がゆれてる。
「A？この人は相葉さん。
仲良くしてあげてくれる？」
飼育員さんの合図で、俺も近くにしゃがみ、
彼女を見つめた。
「ほら、相葉さん。わかった？」
飼育員さんが俺の右手をとり、そっと彼女の
鼻先に近づける。
彼女の息がくすぐったい。
ペロ
彼女が俺の手の甲を舐めた。
「ふふふ。いい子だね。
相葉さん、これでもう大丈夫です。」
どうやら俺は彼女に認められたらしい。
それからのロケは順調だった。
俺の雅紀.comも終わり、機材を撤収し始めた頃、
俺はどうしてもAちゃんを近くでもう一度
見たくなった。
飼育員さんにお願いして、彼女の近くへ。
「今日はありがとね。Aちゃんのお陰だよ。」
そう言ってやさしく頭を撫でると、彼女が体を
伸ばし、俺にかきついて来た。
「こら！A！！」
慌てた飼育員さんが大声を出す。
「大丈夫！大丈夫です(笑)」
俺はそう、飼育員さんに笑顔で告げた。
彼女がそんな俺にキスをする。
「んふふふふ」
俺は思わず笑ってしまった。
だって舌まで入って来たんだもん(笑)
だけど、そんな俺の笑顔も、彼女の目を見た途端、
消える。
その目はまるで、
“行かないで”
そう、俺に言ってるように悲しげに揺れていた。
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作者名：sayanちゃん | 作成日時：2015年10月16日 15時
