イワナガ姫２ (ページ8)

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櫻井の思考ページ8

Sho

どうも、ニノにハゲロと言われた櫻井です。
本日はロケと、今度CMを担当する事になった
会社との打ち合わせ。

湖畔に佇むロッジに来ています。

突然の雨も止み撮影を再開。
無事撮り終わり、あとは打ち合わせと、
明日の早朝の撮影を残すばかり。

小1時間ほどの休憩ができ、ロッジの
オープンスペースでコーヒーを飲みつつ
俺はさっきのアラタの姿を思い出していた。

４人が騒ぐのも頷けるほど、雨にぬれた
アラタは綺麗だった。
だけど……それだけだ。

ちらり、目線をあげて智くんと話す
アラタを見る。

今はなんともない。
いつものアラタだ。
ただ、さっきだけ、森のなかで立って
いる間だけは、透き通るような神秘的な
何かがあった。

恐らく俺の勘違いだろうけど……

「翔さん？」

不意に俺の思考を遮ったのは松本だった。

「ん？」

「んね、アラタに惚れんなよ？」

冗談めかして上目使いに、ソファーの肘かけに
体を預け、こちらに体を寄せた松本が、
ニヤリと笑いながら言う。

「は？男相手にないない(笑)」

第一、俺彼女いるしな。

喉まででかかった言葉を飲み込んだ。
スタッフたちが入り交じるこんな所で
そんな話はできない。

俺は再びコーヒーに口をつけると、
彼女に思いを馳せた。