37 協力 ページ38
幸村くんのことを話そうとすると、やっぱり表情が暗くなってしまう。
こんな姿見られたくないから、みんなに背を向けて話させてもらうことにした。
『…幸村くんと喧嘩しちゃって。』
みんな黙って聞いてくれた。
幸村くんのこと1ミリも分かってなかったことを。
『私のせいだったってことは分かってるけどさ、なんて謝ればいいか分からなくて。』
「…俺たちも協力する。精市のことは、我々立海テニスのことでもある。」
『で、でも、原因は私だったし…！』
「大丈夫ですよ。落ち着いてください。」
「A、俺たちのこと信用してねぇの？」
柳くんが提案をすると、みんな賛成っぽかった。
すごく嬉しいけど…なんとも言えない気持ちになった。
『あの〜、協力って具体的に…』
「A、しー、じゃ。」
私が喋ろうとすると、仁王くんが私の唇に人差し指を指してきた。
後ろを振り返ってみると、柳くんがスマホで誰かに電話をかけていた。
話の流れからして、幸村くんなのかな？
ーーーーーーーーーーーーー
「もしもし、精市。」
「柳か。今1人なの？」
「厳密に言えば1人では無いが、精市の声が聞こえているのは俺だけだ。」
「そうなんだ。じゃあ、一応みんないる感じなのかな？」
「あぁ。今度また精市の方へお見舞いへ行けたらと思っている。…県大会が終わってから。」
「っ…そっか。話が変わるけど、Aの…」
「Aの？」
「ごめん、やっぱりなんでもないよ。県大会、勝ってね。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みなみな美奈紀 | 作成日時：2023年8月15日 13時
