33 声が聞きたくて ページ34
私は夜ご飯を食べた後、部屋で寝っ転がった。
スマホを開くと幸村くんから不在着信が、1、2、…5個!?
私は急いでかけ直そうとした。そしたら、幸村くんから着信が入った。
『もしもし〜幸村くん。ごめんね出れなくて。』
「よかった、やっと出てくれたね。Aに嫌われちゃったのかと思っちゃったよ。」
『そんなことないよ〜!さっき真田くんと一緒に帰って、今家で一息ついてる感じ。』
「へぇー…真田か。」
ちょっとだけ幸村くんの声色が変わった気がした。
『そういえば、たくさん不在着信があったけど、なにか急ぎの用事とかあった?』
「ごめん。用事があった訳じゃなくて、Aの声が聞きたかったんだ。」
『私の声?』
ちょっと不思議だった。だって、普通の声だと思うし、話すなら直接会えばいいのに。
「俺はAの声好きだよ。…ところで、みんなは元気してる?」
『もう少しで県大会だし、みんないつも以上に頑張ってるよ〜!特に真田くんは…』
「…ごめん、A。もう切るよ。」
テニスの話をすると、幸村くんは電話を切ろうとした。
まってよ。幸村くんは部長で、誰よりもみんなのこと好きだし、テニスが大好きだったのに…
私は、強めに言った。
『切らないで。』
でも、間違いだった。
「…もうやめてくれ。Aは俺のことを1ミリも分かってない!!」
ツー…ツー…
そこで電話は切れてしまった。
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作者名:みなみな美奈紀 | 作成日時:2023年8月15日 13時