愛を知らない夏 ［Taiga］

夜道 (9/15) ページ46

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いつも、した後は絶対
2人でお風呂に入るけど、




今すぐにでもこの空間から逃げ出したくて、
すぐに服を纏って、彼の部屋を飛び出した。




ひとりで歩く夜道で、
数分前のことを思い出す。





スマホ見たって、
大我からのLINEとか電話とか何もなくて

もっと、もっと悲しくなる。



追いかけてくれるかも、なんて期待してた自分が恥ずかしくなる。





「もう一回する？」と無理やり始められた行為で、流されていたけど

うつ伏せから、仰向けにされて
彼の顔を見たらもう無理だった。





結局、最後まで耐えられなくて
「ごめん」と無意識に彼の胸に添えてしまった手。




最後かも、と思えば思うほど苦しくて息ができなかった。


決して、強い力だったわけではないのに
大我は弱ったようにすぐに体を離して

同じように「ごめん、」と目を合わせずに、力なく言った。






最後に見えた、キュッと結ばれた唇と、前髪から覗くまばたき。


きっと、

耐えられなかったのは私も彼も同じ。






肌にまとわりつく残暑の湿った空気が、
気を紛らすのにちょうどいい。






赤信号で立ち止まった交差点。


カバンからイヤホンを取り出して、
左耳につけようとしたとき



交差点の向こう側にいた男の人と目が合った。





私を見てピタッと止まり、大きく手を振る。

…私、だよね？

軽く周りを見返しても、ほかに誰もいない。









その人は、
一緒にいた人に"じゃ、"と言うように手をあげて

こっちに軽く走りながら向かってきた。









「Aさん！」

「…樹くん？」


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