case2:ミンハオ ページ2
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バイト先のとってもオシャレな男の子に、
わたしはいつの間にか恋をしてしまっていた。
ひとつ下だけど誰よりも大人びていて、
いつも穏やかで、優しかった。
「Aヌナ、お疲れ様です」
「あ、おつかれさま」
「今日シフト被ってたんだね」
「そうですね、久しぶりです」
うそ、そんなこと、もちろん確認済み。
アパレルだけど、メンズもレディスもあるブランドだ。
ここの服を着ている男の子と付き合いたいと思ったようなバカな志望動機だったけれど、わたしは後悔していない。
だってミンハオくんは、わたしの理想そのものだった。
この日は早上がりで、
バックヤードでミンハオくんに挨拶できた。
それだけで嬉しい。
「ヌナ、もしよかったらこれから僕と食事に行きませんか？」
耳を疑ってしまった。
「しょく、じ？」
「はい、ちょうどご飯の時間です」
"ご飯の時間です"←かわいい！天才！
「い、いくっ！いくいくっ、すぐいく」
「そんなに慌てることないですよ？」
「あはは、そうだよね！」
恥ずかしいわたしの方が年上なのに
わたしがずっと取り乱している。
「準備できましたか？」
「とっくに！」
「あはは、じゃあ行きましょう」
「どこ行くの？」
「ちょっと行きたい店があるんです」
足が長いのにきちんとわたしの歩幅に合わせてくれているのがわかる。
カバンはわたしがいる方と反対側で持ち、
自然と車道側を歩いてくれているようだった。
ミンハオくんのこういう小さな心遣いが、本当に大好きで。
わたしは勝手にミンハオくんが誇らしかった。
「着きました、ここです」
OH！ジーザス！ファッキンオシャレ！
まるで魔法にかかったみたいに、
ミンハオくんのチョイス全てが神秘的に感じるものだ。
「ヌナはワイン飲めますか？」
「うん、たぶん、甘いのなら」
「わかりました、甘いの頼みますね」
「よく来るの？」
「はい、僕のお気に入りです」
「そうなんだ」
席についてそんな話をしていると、
ミンハオくんが言いづらそうにしてこんなことを言った。
「一度、ヌナを連れてきたかったんです」
わたしの思考は完全に停止し、
なんと答えるのが正解なのかわからなくなった。
「わたしを？」
「うん、もっと、よく知りたいですヌナのこと」
それって、なに？
注文したワインが来てグラスに注がれた。
そのワインがボトルでよかったと心から思った。
やった。
夜は長い。
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作者名：m | 作成日時：2020年4月4日 10時
