ミモザの花束を君へ(緑) 3 (ページ34)

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帰りは雨が止んでいた

雨が降っていたら涙も誤魔化せたのに

亮は無言で学校の近くまで送ってくれた

『ありがとう』

亮「‥俺も、ケジメつけたかったから」

『‥？』

亮「なんもない、忘れて」

どこかスッキリしたような亮の顔

それでも少し悲しく見えるのは、私の気持ちを彼に投影してしまっているのだろうか

昨日と同じくらいに教室につく

でも扉の前まで来て引き返す

階段をのぼって準備室へ

ドアを引くと鍵はかかっておらず簡単に入れた

換気をしているのか窓は開いたままでカーテンが揺れている

よく来ていたはずなのにいつもと違うのは大倉先生の持ち物が無くなっているから

そして、あははと大声で笑う貴方がいないから

カバンから紫の花をとりだす

大倉先生がよく座っていたイスにそれを置いてパシャリと写真を撮りマルちゃんに送る

"この花ってなんて言うの？"

授業中だと思ったけれどすぐに返信が来て

"これはアネモネっていう花やで！

最近人気になってきてんねん"

"ありがとう"

花を持ち上げそこに座る

なんだか並んで座っているみたいで照れくさい

居ないのに、そこにいるように感じる

居たのに、手が届かなかった

タイミングが合わなかったのかな

直接、言えないだけでから回ってしまうなんて

それでも、ささやかなプレゼントで気持ちが分かり合えるのも悪くないかもしれない

一回目にもらったミモザはもう枯れ気味で捨ててしまう日も遠くないと思う

昨日もらったミモザはドライフラワーにでもしてとっておこう

『これ‥‥』