ミモザの花束を君へ(緑) 3 (ページ24)

今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:32,720 hit

109束大倉side ページ24

静かにドアが閉められたあと、ガクッと肩の力が抜ける

これでいいと

そう思えば思うほど

それとは違う気持ちが大きくなっていくのに気づいて

自分のずるさを自覚する

違う。傷つけていいと一瞬でも思った俺はずるい大人なんかじゃない

2人の気持ちのおさめどころをまだちっぽけなAに押し付けた最低な男や

大「くそ‥‥っ」

リビングを飛び出してめずらしく靴を整えていたことに感謝しながらかかとを踏んづけて部屋を飛び出す

ドアがガチャっと閉まる音は聞こえへんくて

1階で止まっているエレベーターにイライラする

目の端に映った階段

大「階段の方が早いか‥」

1段飛ばしでかけ下りる

探している女の子はすぐに見つかって

4階と5階の間でうずくまるようにして泣いてる

足音に気づいて振り返った顔はやっぱり泣き顔で

大「A‥‥」

そんな顔を見たら俺やって泣いてまう

大「A‥‥っ！」

抱きしめる

強く、ただ強く

『せんせ‥、私、やっぱり無理‥っ』

俺の腕の中で絞り出すように言う

大「ごめんなぁ‥っ」

なんで、最初から上手くいかんかったんやろう

ずっと下手くそやったんやろう

雨の中、送っていった車の中で近づいた距離を縮められへんかったんやろう

キスやってもっともっと甘いものなはずやのに

いつも俺の言い訳のために苦しい時ばっかりで

大「やっぱり、来て欲しい

明日、来て『行く！絶対行く‥‥っ』

泣きながら笑って答えるAが愛しくて

もっと強く

ずっと抱きしめたくなる

『また、明日会おうね』

彼女のその言葉で俺たちは少し離れる

あの日の距離とおなじ

触れるか、触れないか微妙な距離

やけど曖昧な関係ではなくて

大「また、明日な」

不確かな明日の約束ができるぐらい確かな関係