ミモザの花束を君へ(緑) 3 (ページ20)

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105束 /亮side ページ20

まだ壁にかかってる時計だけがカチカチと音を出す

何か言わなきゃと思えば思うほど、何を言えばいいか分からなくなるのは私だけじゃなくて目の前の大倉先生も同じなのだろう

大「ちょっと、待ってて」

立ち上がった大倉先生を目で追うと玄関で何かしている様子

壁に備え付けのシューズケースの上には、部屋に入ってきた時には目に入らなかった花瓶が置いてあって

大「‥これ」

『‥‥あの、花』

その花瓶の中には私の誕生日に贈られたミモザの黄色い花が数本刺さっていた

大「おととい、隆平くんの店で買ってきた

‥ほんまは昨日渡そう思てたんやけど、ごめん

俺も、勇気出んくて。

離れてまうんならいっその事俺を嫌ってくれへんかなぁって、

最悪の別れ方にしようと思ってんけど

‥‥ほんまは渡したかったし、来てくれて嬉しい」

顔を手で隠しながら話す大倉先生の言葉で私の涙を溢れさせるなんて簡単で

ボロボロと子どもみたいに涙が落ちる

大「ごめんな、来てくれたのに」

そして、この言葉が

もう会わないということを意味してるのも理解出来てしまうから

涙は止まらなくなる

『なんで‥‥っ』

振り絞った言葉

なんて、答えてくれる？

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俺は、もう居たらあかんと思って外で待つことにした

自分の気持ちが砕ける場面になんか居合わせたくないって思いもあったのは否定できひんけど

部屋を出る時、目に入った花瓶

その中にはAの誕生日に大倉が贈ったのと同じ花が入ってて

花瓶の隣に落ちてた花びらを1枚、ポケットに沈める

俺の叶わない恋心を誰にも見えない場所に閉じ込めるように