ミモザの花束を君へ(緑) 2 (ページ19)

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大「うん、それだけ」

汗が、首筋を伝う

さっきまで暑いと思っていたのに、なぜだろう

寒気がする

大「やっぱさ、教師と生徒ってあかん……」

先生の言葉が詰まった理由はわかる

私がとまることのない涙をながしていたから

止まって、という私の意志とは逆に

とまどなく溢れるそれが大倉先生を困らせる

大「なぁ、泣くなって」

流れる涙を拭う手は変わらずないのに

この短期間で何があなたを変えてしまったのだろう

大「A…ごめん

……前のデート蘭にばれてもうてん」

私に近づき耳元でささやく

きっと、今この教室のどこかには蘭がいて

先生は蘭に聞こえないようにこれを言ってくれてるんだということにきづく

でも私が求めていた優しさはそんなんじゃない

どうなってもいいからそばにいて欲しかった

手を繋いで引っ張って欲しかった

先生にも、蘭への申し訳なさがあることぐらい分かってる

それでも、私を選んで欲しかった

『先生は、悪いおとなですね……っ』

さようなら、と心の中で呟いて先生とどこかにいるはずの蘭に背を向けた

そのまま、学校が見えなくなるまで走った

先生は、悪いおとな

親友だと思っていたのに裏切りあった私と蘭は

もっと、もっと悪い

どこで選択を間違えたんだろう

蘭が先生のことを好きなのを知ってたのに私が行動したから？

…でも、好きになったのは私のほうが先だと

また自分を守る思考になる

『…今日のバイトは疲れそうだなぁ』

きっと丸ちゃんはいつも通りで

お店の忙しさもいつも通り

違うのは、私の心だけだからそんなこと表に出してはいけない

分かってるけど

人は弱っているときは誰かにすがりつきたくなる