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Side Yuri
レジを締めながら、慧ちゃんに「美容師になりたい」と打ち明けた日の事をぼんやり思い出していると、宏太から声をかけられた。
「こらー！お客様がいる時は座るなよー！」
「お客様はもういないし、立ってんだけど。」
「わり、小さいから座ってるように見えて。」
アハハと陽気に笑いながら、僕の頭をがしがしと乱暴に撫でる。ここまでが毎度お決まりの宏太の挨拶みたいなものだった。
「…で、今日はどうよ？」
「昨日と同じくらいかな、問題はないよ。」
「そっか、ありがとな。マジで助かってる。」
宏太は店のオーナーとして優秀だった。
売り上げ第一主義ではなく、アルバイトの僕のような立場でも信頼して仕事を任せてくれる。
「…予約受ける時、あんま詰めんなよ。特に、丈一郎は食わないとへばるし、慧はまめに水分補給させてやって欲しいんだわ。」
「そうなんだ…」
「その辺考えて予約組める？後はもう侑李に任せるよ。」
そう言ってもらえればやり易い。スタッフのスケジュールを調整するのは、僕にとってある意味ゲームに似ていた。どうすれば働きやすいのか、考えれば改良点はいくらでもある。
「侑李が来てくれてから、みんなすごく楽になったって言ってるよ。マジでありがとな。」
そして、ねぎらいの言葉も忘れない。言い方こそ軽いけど、口先だけじゃないのが伝わってくる。宏太はとにかくスタッフ思いだった。
間近で見ていて実感する。宏太はいわゆる「非の打ち所がない」タイプなのだと。
どこか、嫌なところがあれば良かった。もっと最低で雄也にふさわしくない男だったら、僕だって何か行動出来るのに。
( 僕ハ アナタノ 恋人ガ 欲シインデス )
決して口に出来ない願いを飲み込んで、まだ僕の頭を撫で続けている人を見上げる。宏太は僕が雄也を好きだなんて、夢にも思ってないんだろう。
「んーどうした侑李？何か食べに行くか？」
どこまでも気の利く男は、恋愛に対しても全く隙がない。宏太は雄也とつき合っている気配など、微塵も見せはしなかった。あまりに完璧なその振る舞いに、それは僕の勘違いだったんじゃないかと思えてくる程で。
3年前に空港で抱き合う姿を見て、二人の事を知った。その後に一度だけ、雄也の首に小さな赤い跡があるのも見た事があるのだけれど。
それ以来、本当に何の気配もなく、僕は慧ちゃんに確かめずにはいられなかった。
「あの二人、本当につき合ってるの？」
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みもたま(プロフ) - コメントありがとうございます！お店の開店に超豪華なお花を届けて頂いたような恐れ多い心境です。閉店にならないように頑張らねばー！（限られた品しかない、マニアックな店ですが…） (2019年11月8日 23時) (
レス) id: f91d6da0d1 (このIDを非表示/違反報告)
Purple Swallowtail(プロフ) - 移行おめでとうございます！高校時代も含め今のみんながどんな風になっているか楽しみにしてます！大ちゃんも登場(^ ^) (2019年11月8日 18時) (レス) id: 73ae1288ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みもたま | 作成日時：2019年11月8日 18時
