2 ページ3
Side Yuri
だから、初めて宏太が店まで食べに来た時は、ものすごく緊張したのだと。
「薮先輩ですよね、サッカー部の…」
「え、俺の事知ってんの？」
「俺も跳高なんです！」
「偶然だなぁ…あ、俺今『薮』じゃなくて『�睫據戮砲覆辰燭鵑世錙�」
「え？」
「親が再婚してさ、これ弟の雄也。」
その時に慧ちゃんと一緒に雄也もいたそうで、以来ずっと、交流が続いているという。
大貴は「blanca」にしか料理は届けていないけど、たまに雄也が一人で来る事もあるらしい。
「…そういう事なんだよ！」
「な、何が⁉」
「雄也の近くに行きたかったら、同業目指すんじゃなくて雄也の必要なものにしろって事。」
「必要なもの？」
「こうやって料理が上手けりゃ、呼ばなくたって向こうから来るだろ？」
「あ、そっか…」
そして慧ちゃんからは大学に行けと、「店の経営を学んでこい」と力説された。幸い、経営学部のある大学の付属高校に通っていたから、そのあたりは楽に進学出来たのだけれど。
「…あとは英語かなー。」
「英語？」
「雄也の通訳出来るくらいにね。」
「通訳って…日本人向けの店でしょ？」
出会って間もなくの頃、雄也はハワイで海外挙式のヘアメイクの仕事を始めていた。
クリスマスイブにオープンしたから「Eve」という安易な店名は雄也の発想で、この小さな店が軌道に乗り始めたのはまだ最近の事。
最初はなかなか仕事にならず、暇を持て余していたらしい。そんな雄也が時折近所の子どもの髪を編んだり結んだりしていたのが「可愛い」と評判になり、大人のヘアセットに繋がっていったのだという。
「海外挙式用じゃなかったの？現地の人ばっか来るんだけどさー」
雄也に泣きつかれ、宏太が急ぎ手配した通訳は、余計な言葉まで雄也に伝えていたらしい。
しつこく口説いていたのが宏太の知るところとなり、以来二度と通訳は頼んでいないという。
今は日本からの申し込みが多く、言葉の苦労も減ったみたいだけど、確かに英語力は最大の武器になるだろう。美容師になるのが雄也への最短の道だと思っていた僕は、あっさり方向転換し、大学に進学して英語の勉強に精を出した。
それを応援するように、慧ちゃんが「受付してくれるバイトが欲しい」と宏太に何度も訴え、この店のアルバイトに受け入れてくれた。
今まで雑用をこなしていた丈くんがスタイリストとして多忙になったのもあり、僕はタイミングにも恵まれていたのだと思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みもたま(プロフ) - コメントありがとうございます！お店の開店に超豪華なお花を届けて頂いたような恐れ多い心境です。閉店にならないように頑張らねばー！（限られた品しかない、マニアックな店ですが…） (2019年11月8日 23時) (
レス) id: f91d6da0d1 (このIDを非表示/違反報告)
Purple Swallowtail(プロフ) - 移行おめでとうございます！高校時代も含め今のみんながどんな風になっているか楽しみにしてます！大ちゃんも登場(^ ^) (2019年11月8日 18時) (レス) id: 73ae1288ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みもたま | 作成日時：2019年11月8日 18時
