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Side Yuri
慧ちゃんの言う「勉強」の意味は何となく察していたけれど、具体的に何をするのかは全く想像がつかない。
「えっと…慧ちゃんが練習させてくれるの？」
額へのキスはそういう事かと問えば、勢いよく頭をはたかれた。
「何で俺が抱かれなきゃいけないんだよ！」
「いたぁ！だ、だって勉強って…」
「手配してやるって言ってんの！」
「手配？何を？」
「いいからチェリーは黙ってついて来な！」
作ってもらったばかりのココアを口にする間もなく、今度は店の外へと連れ出される。
相変わらず慧ちゃんの運転は荒くて、高速道路かと思うようなスピードで走り抜けて行く。
「…チャンスはいつ来るかわかんないだろ、だから今から備えておけって言ってんの。」
「チャンス…」
「明日、宏太と別れるかもよ？」
「ええっ、ホントにっ⁉」
「バカ、物の例えだっつーの。」
鼻先で笑われる程、反応してしまったのは、それをいつも胸の奥で願っていたから。
雄也が宏太に捨てられるような事があったら、うんと優しくしてその隙に付け入ろうと、何度妄想したかわからない。
でも…「優しく」って何？
宏太のあんなキスを目の当たりにすれば、自分が何も出来ない事は明確だった。
最初は抗っていた雄也が、くたりと身を委ねる程の何かを宏太は持っている。それを知りたかった。途端に雄也が蕩け出すようなスイッチがあるのなら、僕だってそれに触れたかった。
「僕も…色々出来るようになりたい…」
「大丈夫、まずは準備から一つずつ覚えな。」
「準備って何の…？」
不安で思わず声が小さくなると、慧ちゃんはくしゃくしゃと頭を撫でてくれた。
きっとこの先には良からぬものが待っている。
でも、それでも構わないと思える程に、僕は雄也に触れる方法を知りたくなっていた。
程なくして着いた場所は、普段全く足を踏み入れる事のない、高級な店構えのセレクトショップだった。そこが行きつけなのだろうか、「こんばんはー」とにこやかに慧ちゃんが入って行く。
「この子をうんと可愛くして欲しいんだけど」
顔見知りらしい店員さんに僕を押し出すと、慧ちゃんはさっさと店の奥にあるソファの方に向かってしまった。訳がわからず声をかけたくても、どこかへ電話をかけ始めた慧ちゃんは僕など眼中にない。
「…こちらへどうぞ。」
心得たもので、店員さんはあっという間に次から次へと服や靴を持ってくる。僕は着せ替え人形と化していた。
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みもたま(プロフ) - コメントありがとうございます！お店の開店に超豪華なお花を届けて頂いたような恐れ多い心境です。閉店にならないように頑張らねばー！（限られた品しかない、マニアックな店ですが…） (2019年11月8日 23時) (
レス) id: f91d6da0d1 (このIDを非表示/違反報告)
Purple Swallowtail(プロフ) - 移行おめでとうございます！高校時代も含め今のみんながどんな風になっているか楽しみにしてます！大ちゃんも登場(^ ^) (2019年11月8日 18時) (レス) id: 73ae1288ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みもたま | 作成日時：2019年11月8日 18時
