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Side Yuri
「…悪い子だね、こんな所で覗き見？」
からかうような口調には不似合いな強さで背後から拘束され、身動きがとれない。
慧ちゃんの細い指が僕の口元に食い込み、呼吸さえ奪っていくようだった。そのまま、「ここで一緒に見よっか？」と耳元で囁かれ、僕は必死に首を振って抗った。
エスカレートしていく宏太のキスを、慧ちゃんから香る香水が一層妖しく彩る。
僅かに水音まで聞こえたような気がして、視覚だけではない強すぎる刺激に、あまりの息苦しさに、僕は気が遠くなりかけていた。
それでも「目をそらすな」と言わんばかりに慧ちゃんが僕の事を締め上げ、この場から逃げ出すのも許されない。あの細い体のどこに、こんな力があるんだろう。どこか鬼気迫るものがあって、悪ふざけの域はとっくに超えていた。
雄也が宏太の肩を押し返したのと同時に、慧ちゃんの腕がようやく緩む。それでも、今さらどこにも行けない状況に立ち尽くしていると、雄也が宏太の肩先にくたりと頭を傾けた。
「も… やだって… ゆった…」
それは抗議のつもりなのだろうが、切れ切れに聞こえた声はひどく甘い。「はいはい、俺が悪いな」と口先だけの謝罪を伝えて雄也の髪に鼻先を埋めると、宏太は愛おしげにその背を撫でる。
またキスが始まるのかと焦ったけれど、二言三言何か囁き、雄也の手を引いて宏太は出て行った。もう僕に買い物を頼んだ事も忘れたんだろう。
一瞬見えたその横顔は、僕が初めて見るような「男」の表情をしていて。
「かなうわけない」と、今まで何度も繰り返した言葉を、再び嫌というほど思い知らされる。
宏太は、宏太だけは、雄也をあんな風に抱きしめてキスして囁く事を許されているのだ。
人の恋人を欲しがったりするから、いつまでも未練がましく諦められずにいるから、こんな風に打ちのめされるのだろうか。僕が雄也を想っている限り、きっとこの苦しさはついて回る。
反対側のドアから二人が出て行った後、途端に足の力が抜け立っていられなった僕を慧ちゃんが引き上げる。そして、追い討ちをかけるように問いかけた。
「…で、どうすんの？」
何も答えられずにいると、「侑李には刺激が強すぎたか…」と慧ちゃんがため息をつく。
そのまま僕は、半ば強引に部屋の中へと押し込まれた。強く引かれた手に、つい先程雄也を連れて出て行った宏太の姿を思い出しながら。
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みもたま(プロフ) - コメントありがとうございます！お店の開店に超豪華なお花を届けて頂いたような恐れ多い心境です。閉店にならないように頑張らねばー！（限られた品しかない、マニアックな店ですが…） (2019年11月8日 23時) (
レス) id: f91d6da0d1 (このIDを非表示/違反報告)
Purple Swallowtail(プロフ) - 移行おめでとうございます！高校時代も含め今のみんながどんな風になっているか楽しみにしてます！大ちゃんも登場(^ ^) (2019年11月8日 18時) (レス) id: 73ae1288ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みもたま | 作成日時：2019年11月8日 18時
