Beautiful Moon 3rd (ページ34)

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過去は変えられないけどページ34

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ホリデーシーズンは終盤戦。街に少しずつ忙しない年の瀬の空気が漂い始めた。ドラマの撮影に並行して少しずつ始まっている舞台の準備でほんのり忙しくはあるものの、比較的余裕はある。

「Aー」

『はーいー？』

「窓拭き終わったよー！」

今年最後の2人の完全オフは大掃除をしよう。そう思い立って照と私は家の大掃除をしている。

『ありがとう！』

私達は完全同棲ではない。同じマンション内に部屋を2つ構えた半同棲スタイルを取っている。ただ主に生活が営まれているのは私名義の部屋だ。

照の部屋はトレーニング部屋と化していて、お互い体を動かしたい時や筋肉が落ちてきた時に筋トレをするためにある。だから今日大掃除をしているのは2LDKの私の部屋だ。

照には高い所や窓、お風呂を任せ、私は靴箱やゲーム部屋、キッチンを担当する。リビングはそれぞれの持ち場が終わり次第やることに決めた。

『適度に休憩取ってね？』

「うん。Aこそ集中しすぎないようにね？」

私も女性としては高い身長で、時には男性をも追い越している。でも180cm超えの照には全く敵わない。

自分では届かない場所を照が担ってくれるから毎年気持ちよく新年を迎えられる。感謝と頼もしさを感じながらゲーム部屋の整理をしていると、記憶から消えていたダンボールがクローゼットの奥から見つかった。

『何これ』

身に覚えがなく自分でも戸惑う。ガムテープで頑丈に閉じられた蓋をカッターナイフを使って開く。

『げっ……』

中から出てきたのは年季の入ったアクセサリーや洋服類、手紙や何冊かのアルバムだった。そしてその全てに思い当たりがあった。

『捨ててなかったんだ……』

長年封をしていた影響か古びた割にホコリを被っていない。奥に隠していたのは照に見られてはならない、という使命感と私自身思い出したくなかったからなのだろう。試しに1冊のアルバムを手に取る。

『ひぇっ……』

中を開けばとても若い私をやはり若い男性がギュッと抱き締めて笑顔で自撮りををしている。大きな手と細くも逞しい腕に腰を抱かれた私はどこか恥ずかしそうでもある。

「A、俺終わったからリビング……」

そして私は照の地雷を踏んでしまった。どう頑張っても中を見られてしまった。

「……A？」

近づく気配に不機嫌さが漂う。顔を見なくても分かるくらいだ。