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服や日常雑貨にお揃いは多い。でもアクセサリーにはない。Aはピアスホールが開いていないからピアスは渡せないし、ブレスレットはあまり好きではないらしい。そもそもA自身アクセサリーというものをプライベートであまり身につけていない。
「ペアリングかぁ」
ふっかは間の抜けた声で呟く。
「俺はいいと思う。照らしいっつーかなんつーか」
「俺らしい？」
「ほら、照ってヤキモチ妬きだろ？」
「うん」
あっさり認めるやん、と苦笑いしながらふっかは顎に手を添える。
「最近の女の子達ってサバサバしてる子が多いからさ、照みたいなタイプって敬遠されがちだと思うのよ」
何も言い返せない。実際俺はAに振られる前提で気持ちを伝えていた。
「でもAって照の重いとこも受け入れてるし、 そこが好きって感じすらするのね？ だからペアリング貰ったらすげえ喜ぶと思う。俺のイメージだけどAってサバサバしてるけどめっちゃ乙女だし」
ふっかの言葉を聞きながら、俺は本気でペアリングをプレゼントしようと決意した。
アクセサリーを身につけないから……、という理由で悩んでいたけれど、Aの喜ぶ顔が見てみたいのも本音だ。
「ありがとう、ふっか。明日早速見てくる」
「は、早いな……」
だけどリングのサイズが分からない。寝ている間に紐で括って……、なんて器用なことはできない。俺が不器用だし、Aは人の気配に敏感だから不器用も相まって起きてしまうと思う。
「善は急げって言うじゃん」
「お前っ、そんな難しい言葉どこで覚えたんだよ！」
「Aが言ってた」
「惚気かよ！」
ふっかは威嚇中の子犬のようにキャンキャン吠えている。
「じゃあふっかも惚気けたらいいじゃん。今1番楽しい時でしょ？」
「いやぁ。そうなんだけどねぇ」
今までの人生で照みたいに10年以上同じ人を同じ熱量で好きでいられたことがないから、とふっかは苦笑いした。
「俺の惚気話はまだまだ先になりそうだ」
「絶対聞かせてね？」
「あたりめーよ」
Aの笑顔が見たい。喜ぶ顔が見たい。いつも俺を幸せな気持ちにしてくれるAを今度は俺が幸せにしたい。早速都内でペアリングを取り扱うジュエリーショップを探した。
「照くん何ニヤニヤしてるの？」
「照は今大人の時間を過ごしてんだ。そっとしとけ？」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年11月29日 19時
