Beautiful Moon 3rd (ページ27)

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☆ ページ27

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『みっちーくんも頑張ってね！』

3人手を振ってスタジオを出る。ドアを開けば仏頂面のボディガードが壁に背中を預け、睨みつけながら立っている。思わず背中が凍てつくほどの怖さだ。

「みっちーねえ……」

ふーん、と怖そうに見えて完全な拗ね拗ねモードだ。

道枝くん……みっちーと私の出会いを強く警戒していながら手が離せないタイミングを狙われ、阻止できなかったのが悔しくて仕方がないのだろう。丈くんの血の気が引いている。

「ひ、照これは違うねん！」

「何が違ってんだよ。俺に隠れてコソコソ道枝のとこに連れて行ってさ、何も違ってねえし。疚しくないなら堂々と行けよ」

本当は嫌だけど、と独占欲は忘れない。焦る丈くんをよそに照は私に近づく。

「AもAだよ。何でひょこひょこ着いて行っちゃうの？丈が変なやつ紹介するとは思わないけど……」

止まらない文句は左手で照の両頬を挟み、押さえるように顔をムギュッとすれば止まる。ついでに険悪になりかけていた空気も止まった。

「……にゃにしゅるの」

『ふはっ。ちゃんと喋れてないよ？』

Aちゃんすご……、と丈くんが感心している。

「Aちゃんだけやで？照にこんなんできんの」

『伊達に付き合ってないから。舐めてもらったら困るのよ』

ムギュッとする手に力を入れる。唇がよりおちょぼ口になって滑稽だけど可愛さはある。嫉妬モンスターの嫉妬を一時的にでも押さえつけるにはこうするしかない。でも見せしめてしまったからますます拗ねてしまうのだろう。

「にぇえはにゃして？」

そういえば高校生の時、照と写真を撮る時必ず両方のほっぺを引き寄せて押さえていたな、と思い出す。当時から後輩に怖がられ、時には恐れられていた照が私にイタズラされる。それが私が“裏ボス”と痛恨のあだ名を付けられた原因の1つだ。

『照が拗ね終わるまで離さない』

「しゅにぇにゃいかりゃはにゃして！」

「おもろ。夫婦漫才やん」

あんたら見てると元気なる、と丈くんは楽しそうに笑った。照の顔を解放する。ほっぺが自由になった照は両方をすりすり撫でた。

『照は可愛いんだよ。怖いのは顔だけだよ、私からすれば顔も可愛いけど』

「ねーえ！やだ！可愛いやだ！性格くらいはかっこいいにしてよ……！」

そういうところが可愛い。きっと誰にも分かってもらえない。