Beautiful Moon 3rd (ページ21)

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☆ ページ21

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SnowManと付き合っている夫の妹にSixTONESを求める。きっと冗談のつもりだろうけど、真に受けて嫉妬に直結させる自分の思考回路をどうにかしたい。

『リカコにはまだ言えてないからなぁ、私の彼氏はSixTONESじゃなくてSnowManなのって』

リカコさんがアツキくんの奥さんで蓮ちゃんのママだ。Aの1つ下で妹さんの同級生だという。リカコさんの猛アプローチの末に交際、結婚に至ったらしく、Aが言うには主導権はリカコさんにあるという。

「……言ってよ」

『拗ねないで？ちゃんと言うから』

Aは俺を宥めた。そこは納得できたけど、

「そもそもどういう流れで蓮ちゃんを預かることになったの？」

俺には疑問だった。

Aには出産経験はない。しかも赤ちゃんは赤ちゃんでも、それほどむっちりさのない赤ちゃんだ。つい最近までお腹の中にいて、外の世界に出てきてそれほど経っていない赤ちゃんを預けるのは危ないのではないか。ましてや子育て経験のない女性に……、なんて考えてしまう。

『アツキの話なんだけど、出産自体は安産だったんだけど最近リカコの産後の肥立ちが良くないんだって』

「産後の肥立ち……？」

聞いたことはあるけど具体的にどういうものか、俺には分からない。

『出産の後のお母さんの回復状況のことだよ。出産って体にも心にもダメージを与えるんだけど、怪我と同じように元の健康な状態に戻ろうとするの。でも退院してからずっと気分の落ち込みが激しいみたいでね……』

Aは少し悲しそうに眉を下げる。リカコさんはAの妹の同級生でもあり、年端もいかない時からの幼馴染だ。

家族ぐるみで仲が良く、一緒に育ってきたからこそ喜ばしい出来事の陰で幼馴染が苦しむのに心を痛めているのだろう。

『何かがおかしいから病院に連れて行く、半日だけでいいから預かってほしいってアツキに頼まれたの』

「なるほど……」

いくら主導権を握られていようが妻の変化に敏感で力を発揮する。顔はAにそっくりで背丈は目黒くらい、細身で穏やか。でも頼りがいのあるアツキくんの姿が頭に浮かんだ。

『産後うつだと最悪自ら死を選ぶこともあるんだよ。それじゃ誰も幸せになれないし、アツキが頼るくらいだから本当に思わしくないんだなって』

兄と兄の大切な人達を支え、守りたい。Aの優しさに俺はまた惚れた。