Beautiful Moon 3rd (ページ16)

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取材と彼とページ16

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「早速ですが、藤井さんの第一印象について教えてください」

「僕的にAさんは今も昔もピーターパンのイメージです。実はAが初めて主演として出演した年のピーターパンを観に行っていたんですけど、舞台上をフライングで悠々自適に飛び回るんです。グルグル回ってアクロバティックで、本当にかっこよかった。

しかも歌も上手くて。周りのちびっ子達が皆目を輝かせて、キャーとかワーとか歓声を上げている。彼女より動きが俊敏で大きな海賊達を倒していくのもとてもかっこよかった。五感を飽きさせないお芝居をするAさんが実は同じ歳の女の子だと知った時は衝撃でした」

長い、長すぎる。熱く語られすぎて顔が火照る。

「当時僕も子役として活動していましたけど、Aさんほどの活躍はできていませんでした。でも絶対に共演したくて、オーディションの話を聞いた時は迷いがありませんでした。受ける一択でした」

照は好きにまっすぐな人だ。好きな物にはとことん一途で、誰にも止められないほどの熱量で向き合っている。それが自分に向けられた時の破壊力たるや。私は今顔が赤くなりっぱなしだ。

「だからジョン役として受かった時はめちゃくちゃ嬉しかったです。僕のピーターパンとお仕事できるんだ！みたいな？」

前のめりで話すから私は一切割り入れない。ニコニコ話を聞いてくださるインタビュアーさんの優しさが今は恥ずかしい。

「彼女と過ごした時間は決して楽しいだけではありませんでした。自分の実力を痛感したし上手くいかないことも沢山ありました。

でも今の自分がいるのはAさんのおかげですし、僕の初舞台の座長がAさんだったから舞台やミュージカルの楽しさを知りました。今も舞台というものを続けたいと思えます。今回はドラマですけど、成長した姿を見せたいですね」

すごい。インタビュアーさんの質問なしに全部語ってしまった。照にしては珍しくとても饒舌だった。

「さあ、岩本さんがこれだけ熱く熱く語ってくださいましたけど、藤井さんはいかがですか？」

『いやぁ、恥ずかしいですねえ……』

ありきたりにしか答えられなかった。でも私がピーターになった初めての年の舞台を照が観劇していて、それがきっかけでオーディションを受けたのは知らなかったし嬉しい。

自分の頑張りが誰かの力になっていたのだから。