クリスマス問題 ページ15
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『何にしようかなぁ……』
スマホとにらめっこをするA。真剣に悩む姿も可愛いなぁ、なんて思いながらもその理由は俺がいい思いをできるものではない。
「ミニスカサンタだけはやめてね」
『じゃあミニスカトナカイかなぁ』
「は？ 何それ」
近々ドラマキャストの親睦会を兼ねてクリスマスパーティーをすることになった。店で豪快にするのではなくちょっとした打ち上げのようなパーティーで、撮影現場のスタジオでチキンやケーキ、飲み物を持ち寄って行われる予定だ。
「これでいいじゃん、これで」
そこで何人かがコスプレをすることになったのだけど、Aにも白羽の矢が立った。当の本人はノリノリで自前を準備してきます、なんて返した。俺の気持ちとは裏腹にソファーを陣取って呑気にネットサーフィンを楽しんでいる。
『ええ……』
俺が指したのはクリスマスツリーの着ぐるみだ。これなら全身完全防備で脚も見えない。
『2人もツリーいたらダメでしょ。丈くんが持ってくるみたいだし、被ったらどっちも滑った感じになるし』
丈のやつ、お前が選ばなければ……
「で、でも、ミニスカじゃなくてもいいじゃん！」
『それはそうだけど……』
調べてもミニスカばっかりだもん。Aは不機嫌そうに言った。この世の中の全ての煩悩が言葉の中に詰まっている気がした。
Aはスリットの入ったロングスカートは好きだけど、ミニ丈が好きかと言われたらそうでもない。衣装で準備されたら着るくらいで、俺が何を言わなくてもロング丈を選ぶ。ショート丈の時はタイツが手放せない。だから悩んでいたのだろう。
「こういうのはどう？」
一緒に探していると袖口や裾、首元にファーが施されたブラウンのロングワンピースを見つけた。トナカイをイメージしたもののようで、角のカチューシャが付属している。胸元のポンポンはブローチになっていて取り外しもできる。
『可愛い』
さすが分かってる、とAはニコニコ笑った。サイズ的にも良さそうで、ポチッと買い物かごに入れる。本当はその衣装も嫌だけど、ミニスカよりはマシだ。
『さすが照だわ、センスしかないよねぇ』
「ありがとう。俺Aが似合うものはよく知ってるつもりだから」
俺も頼もう。自分用のサンタクロースのコスプレ衣装と、……個人的にAに着てほしいミニスカサンタの衣装を。
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年11月29日 19時
